前回に引き続き、借地人・借家人を手厚く保護する「旧借地借家法」について見ていきます。今回は、投資の視点から、急報の借地の魅力を見ていきましょう。

戦地から戻る兵士に配慮した法改正だった!?

前回の続きです。では、なぜここまでして、国は借地人や借家人を保護したのでしょうか。

 

それは、当時の時代背景を紐解くと見えてきます。1941年に借地借家法が改正されたとき、日本は戦争中でした。「お国のため」と戦争に行った兵士が、いずれ戦地から戻ってきます。そのときに住む家がないと困る、ということが最大の理由だといわれています。とくに東京の下町などにおいては借地人・借家人が多く、地主より借地人・借家人を保護しなければ社会が混乱してしまうという懸念があったということです。

 

1992(平成4)年8月1日に借地借家法の改正があり、新借地借家法として貸主、地主にも配慮した法律ができましたが、新法の施行によって強制的に新法が適用されるわけではないので、1992年8月1日以前に締結された借地権はそのままです。新法もそうですが、旧法も、地主に契約の更新を拒否されないためには「借地上に建物があること」が条件となるため、建て替えの資金が用意できない借地人は、雨漏りのする古い家屋に住んでいるのが現状なのです。

旧法の借地は、不動産としてとても魅力的

このような、地主の元に戻ってこないような旧法の借地は、不動産としてとても魅力的な案件です。この底地と借地権を、同時に第三者に売ってしまうのです。地主にも借地人にも悪い話ではありません。この土地が売れた際に、地主と借地人が受け取る金額の割合が、さきほどご説明した借地権割合です。

 

実は私の会社も、底地と借地権の同時売却で桁違いの収益を上げたことがあります。そのときに感じたのはまたしても「やっぱり町はお金であふれている!」ということです。

 

本連載は、2016年10月21日刊行の書籍『誰も知らない不動産屋のウラ話』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

誰も知らない不動産屋のウラ話

誰も知らない不動産屋のウラ話

川嶋 謙一

幻冬舎メディアコンサルティング

“ディープタウン新宿"の不動産会社社長が業界のアブナイ裏話を一挙公開! 「学歴ナシ」「若さナシ」「経験ナシ」「金ナシ」でも儲かる仕組み、意外な慣習とは── 2回の自己破産を経験し、ありとあらゆる職業を渡り歩いて…

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