ひとつの目安は「住宅性能表示制度」という国の制度
前回の続きです。
それではどの程度、耐震性や耐久性のレベルを上げればいいのでしょうか。
ひとつの目安になるのが住宅性能表示制度です。これは、1999(平成11年6月公布)年にできた「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(略して品確法)という法律に基づく、国の制度です。
具体的には、構造耐力、省エネルギー性、遮音性など住宅の性能に関わる一定の項目について、その表示の方法や評価の方法の基準が設けられており、設計段階などにおいて第三者機関が評価します。評価の結果は書面となり、契約においてその実現が約束されるというものです。
表示項目は新築住宅では、10分野32項目あります。高い等級を実現するためにはそれなりの費用が必要ですし、例えば窓を広くすると地震などに対する強さの等級が低くなる可能性があるなど相反する関係のものもあります。また、建築基準法にもともと定められている性能項目については、最低等級である「等級1」が建築基準法と同程度の性能です。
建築基準法から「ワンランク上の性能」を目指す
私は「コンパクトアパート」においては、「耐震等級2」と「劣化対策等級2」を取得するのがよいと思います。
建築基準法レベルの耐震性は、住宅性能表示制度においては「耐震等級1」になります。これは、震度5強程度の地震では構造躯体がほとんど被害を受けず、震度6から7の地震でも建物が倒壊して中にいる人が死傷するのを避けられるレベルとされます。
「耐震等級2」は、それよりも1.25倍の耐震性を確保しているので、かなり安心できます。これが「耐震等級3」になると建築基準法レベルの1.5倍となり、やや行き過ぎでしょう。
同じように、建築基準法レベルの耐久性は、住宅性能表示制度においては「劣化対策等級1」になります。
これに対して「劣化対策等級2」は、木造アパートであれば木材の腐朽やシロアリの被害に対して2世代(50~60年程度)は長持ちする対策が講じられているものです。これが「劣化対策等級3」になるとさらに3世代(75~90年程度)まで長持ちするレベルとなり、やや行き過ぎでしょう。
なお、新しい「コンパクトアパート」ではこのほか、通常、木造2階建てでは不要とされる地盤調査を行った上で、必要であれば地盤改良を施し、地盤に10年保証を付けます。また、通常、木造2階建てでは不要な構造計算も行います。そのほか、工事中には役所の検査のほか自主検査をきちんと行い、完成引き渡し時には、地盤保証書、住宅性能評価書(設計性能評価)、検査済証、保険証など一式そろえるようにします。
これらはすべて、入居者の安心とオーナーにとって資産価値の維持というメリットにつながります。
[図表]「住宅性能表示制度」における新築住宅の表示項目の概要