消防設備工事は「消防設備士」に依頼
保健所へ書類の提出を終えたら、あとはひとまず待ちます。この間に保健所内での処理や、保健所から近隣の教育施設(学校や図書館など)に照会をかけます。
ボーっと待っているのも時間がもったいないので、同時に消防の設備対策を進めていきましょう。
旅館業を始めるには、建物が特定用途の消防法令に適合している必要があります。多数の人が出入りする物件の場合、家庭用の消防設備ではダメなのです。万一火事が起こったりしたら困りますからね。
開業には、消防から「消防法令適合通知書」を取得する必要があります。
設備工事に関してはどこに依頼すればいいかですが、「消防設備士」に依頼します。ネットで「防災屋」を調べて、物件まで来てもらいましょう。工事費用も業者によってまちまちなので、3社くらい来てもらってあいみつするのがベストです。
流れとしてはこの3つですが、消防設備に関してはどちらにせよ最終的に消防設備士が実施する必要があるので、全部丸投げで事前相談から申請、工事までお任せするのがオススメです。
【消防関係の流れ】
1.消防署予防課に相談と申請
2.消防設備の設置工事
3.申請、消防署からの現地検査
ポイントとしては、工事に取りかかれるのが、申請(防火対象物の工事届出書を提出)をしてから1週間後からしか設備工事に着手できない決まりとなっているため、防災屋への相談の早めに済ませておきましょう。無駄な時間を省くためです。依頼した後は全てお任せで大丈夫です。
[図表1]
自動火災報知設備、誘導灯、非常用照明、消化器などの設置をしてもらいます。誘導灯とは何かですが、こういうのを見たことがありますね? 避難口へ誘導するものです。
[図表2]
ここは消防設備士にお任せすればいいので、あなたが知っておく必要はあまりないのですが、申請に当たって消防署とどのような打ち合わせがあるのかですが、誘導灯の取付場所、消火器や感知器の必要個数と取り付け箇所(物件によって異なるため)などに関して打ち合わせています。取り付け箇所についても同様です。私は興味津々だったため立ち会ってきました。
小規模施設の場合は、簡易的な火災報知器でOK
これだけは覚えておきましょう。
消防の設備基準は施設規模によって決められているのですが、民泊の場合、基本的に小規模施設(施設の床面積が300㎡未満)なので大きな工事をする必要はなく、簡単な設備をつけてもらうだけで大丈夫です。
ここでは小規模施設について書いていきます。
小規模施設であれば「特定小規模施設用自動火災報知器」と呼ばれる簡易的な火災報知器でOKなのです。ですが、業者は大幅な工事をすればするほど代金が上がって儲かるわけですから、自分からは言ってくれないこともあります。損をしないように覚えておきましょう。
本来はきちんとした火災警報設備(火災の際にボタンを押したら非常ベルが鳴るようなものです)をつけたほうがいいわけですが、その工事をするには100万円以上かかってしまいますが、小規模施設には免除されます。過去に私も、あいみつした中の悪徳業者からそのような見積もりを出されたことがありました。
「特定小規模施設用自動火災報知器」であれば、ネットで一つ13000円程度の価格で購入できますし、配線工事もありませんので自分で取り付けることも可能です。
誘導灯と非常用照明に関しては、既存で物件に付いている電気の電線ではダメですので(災害時に電気が切れた場合用なのにもかかわらず、同じく切れてしまっては意味がないですからね)普通の電気の配線とは別につなぐ必要があります。これに関しては防災屋に任せましょう。
これらの工事一式と物品の購入費合わせて合計15万円くらいで済むところもあります。
その他、市町村条例等により「避難経路図の掲出」や「携帯用電灯の常設」などが求められている場合もあります。大げさなものでなく、携帯用電灯普通の数百円の懐中電灯でOKです。避難経路図の掲出は、簡単な図を自分で書いたものでもOKなことも多いです。