人との距離が近い韓国人、スペースを保つ日本人
アジアの国の人々は、ビジネス面でも、人間的な関係性を重視することが多いようですが、日本は、比較的その傾向が低いと私は感じています。
日本人は人とのスペースを保ち、韓国人は距離が近いという相違点を感じることも、少なくありません。
昼間のビジネスでは製品のよさを説明し、とても熱心な部品メーカーの営業マンが、夕方、私が飲みに誘っても、「用事があります」と断ってくることがよくあります。そんなとき、私は「会社で接待しないように言われているのかな」「ビジネス上の関係だけなのか」と、少しがっかりしてしまうのです。
韓国企業では会社の規模にかかわらず「会社の行事」がとても多くあります。給料日に皆が集まって会食をしたり、「ワークショップ」と呼ばれる日帰り旅行に行ったりもします。
社員同士はもちろん取引先との間柄でも、一緒に飲みに行ったり、カラオケに行ったりして時間を過ごし、人間関係を築くことをとても大切に考えています。
日本でも、昔は会社の運動会や社員旅行が、多くの会社で頻繁に行われていたそうですが、効率化やプライベートを尊重する風潮で、廃れていったと聞いています。
「仕事時間以外で、飲みに行ったりするくらいなら自分の好きなことをしたい」
「仕事は仕事。わざわざプライベートで付き合うのは時間がもったいない」
という気持ちもわかります。
でも、韓国とのビジネスに関していえば、仕事から離れた時間で人間関係を築くことは、プラスになることはあれ、マイナスになることは決してありません。なぜなら、韓国では、お酒を飲んで自分を解放して話をしたということで、感情的な関係性が一気に深まるからです。
感情的な絆が深まれば、ビジネスもスムーズに
また、韓国ではお酒の席での言動は、基本的には問われることはありません。
日本のように「今日は、無礼講で」と言われても、実際は、飲み会での一挙一動を皆が覚えているようなことはなく、それどころか「二日酔い」という理由で遅刻をしても、「そうだな、たくさん飲んだからな」と許される職場も、少なくないのです。そして、感情的な絆が深まれば、ビジネスでも「なんとかしよう」と思うのが韓国人なのです。
お酒を飲めない人でも、飲み会に参加して楽しく過ごす。また、ランチを一緒に食べて仕事以外の話をする。こうして、信頼関係を築いていけば、結果的にビジネスもスムーズになるのです。