今回は、韓国企業とのビジネスでは、意見や疑問をその場で伝えるべき理由を説明します。※本連載では、株式会社ジェイターボ・代表理事、一般社団法人Read For Action協会・リーディングファシリテーターである徐丞範氏の著書『韓国ビジネス 53の成功ルール』(合同フォレスト)から一部を抜粋し、日本での居住経験と日韓ビジネスの実績を数多く持つ筆者が、韓国ビジネスを成功に導く「相手との付き合い方」を説明します。

なかなか質問ができない日本人

私はよく、日本でも韓国でもセミナーに参加します。

 

一番大きな違いは、「何か質問はありませんか?」と、講師がたずねたときの態度です。シーンと静まり返るのが日本。黙って口を閉ざすだけではありません。まるで、学校で「先生に指名されて答えを言わされる」のを恐れるように、目線をそらす人も少なくありません。

 

韓国のセミナーでは、皆「我先に」と競って質問をします。ほとんどの場合、質問が多すぎて講師が終了時間を決めて締め切らないといけないほどです。せっかく学びにきているのだから、質問するチャンスを逃すのは、非常にもったいないと思うのでしょう。

黙ってうなずくだけなら、韓国人はOKだと判断する

これは、企業での会議でも同じです。

 

日本人が出張で、韓国企業の会議に参加したときの話です。その日本人担当者は、会議では「ウンウン」とうなずくばかりで、あまり発言をしません。そのため、韓国サイドは「会議の内容に問題はなく、話はほぼまとまった」と思っていました。

 

ところが、担当者が日本に帰ったあと、なんと、「当社は、決定事項は受け入れられない」という返事がきたのです。これには、韓国側のスタッフは驚き、大きくもめたことがありました。

 

日本は合意で決定がなされる社会です。そのため、持ち帰らなければ結果を出すことはできないということはわかります。でも、疑問や問題があるのであれば、会議で話してほしかったと韓国企業は思ったのです。

 

おそらく日本人は「ほかの人がいるところで、疑問を投げかけることは、相手を信頼していないサインだ」と考えて遠慮してしまい、発言しなかったのでしょう。でも、韓国人にしてみれば「その場で聞いてくれれば、こちらも改善点を提案できたのに」と思ったのです。

 

このことから私は、日本企業には、もし会議など相手と話す機会があるのであれば、あらかじめ疑問点などをまとめ、メールで送っておくようアドバイスしています。そうすれば、すでに伝えていることですから、発言がしやすいからです。

 

また、韓国企業には日本人が韓国人のように、自分から発言するのを待つのではなく、「◯△さんは、どう思いますか」「御社のお考えはどうでしょうか」と、必ず指名して問いかけるように心がけてほしいと伝えています。

韓国ビジネス 53の成功ルール

韓国ビジネス 53の成功ルール

徐 丞範

合同フォレスト

日本での居住経験と日韓ビジネスの実績を数多く持つ筆者が指南する、韓国人とビジネスを円滑に進め、良好な人間関係を築くために知っておきたいポイント。 日本人と韓国人の違いや特性を理解し、お互いの強みを生かせば、私…

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