今回は、日本企業と韓国企業の「スケジュール感覚」の相違点を探ります。※本連載では、株式会社ジェイターボ・代表理事、一般社団法人Read For Action協会・リーディングファシリテーターである徐丞範氏の著書『韓国ビジネス 53の成功ルール』(合同フォレスト)から一部を抜粋し、日本での居住経験と日韓ビジネスの実績を数多く持つ筆者が、韓国ビジネスを成功に導く「相手との付き合い方」を説明します。

決断は早いが、決定事項を変更する柔軟性を持つ韓国

時間やスケジュール管理の面でも、日本人と韓国人の間には、微妙な、しかし大きな感覚の違いが横たわっています。

 

日本人は、意思決定の過程で見られるように、慎重に計画を立て、めったにそこから外れることはありません。目的に向かって着実に進むのを好むため、時間通りであることに価値が置かれます。

 

韓国人からすれば、日本人は細かいスケジュール通りに実行しようとし、変化を嫌うように見えるでしょう。

 

一方で韓国人は、素早く決断しますが、一度決定したことでも簡単に変更する傾向があり、柔軟性を重視します。そのため、日本人から見たら、計画していてもなかなかその通りに進まなかったり、時間にもルーズだったりする印象が強いでしょう。

韓国人とビジネスをするなら、時間は守ったほうが無難

私が驚いた、日本人の時間の感覚の話を紹介しましょう。

 

ある日本人ビジネスマンの男性は、取引先とのアポイントに向かうときは必ず30分前に到着するといいます。

 

そして、しっかりと場所を確認したうえで、近くのカフェに入り、仕事をしたり本を読んだりして時間を調整します。そして、あまり早く着いても相手に迷惑だろうと、約束時間の数分前にドアをノックできるように、先方に向かうのです。

 

私は、約束の時間にここまで気を配る韓国人に、一人も会ったことがありません。最近でこそ少なくなりましたが、10年前くらいまでは、時間に多少遅れるのは当たり前という感覚の人が多く、韓国人はあまり約束の時間に現れないことから「コリアンタイム」と呼ばれていたくらいです。

 

日本人は、取引先との約束に限らず、友人同士でもギリギリに着けそうかなと思っても「電車が遅れたため、5分遅れます」と、しっかり連絡をします。

 

ところが韓国人は、仕事のアポイントでも5分くらいの遅れなら、わざわざ相手に「5分遅れます」とは連絡をしません。「5分なら、〝時間通り〞と同じ」と考えるからです。

 

「それなら、自分たちだって、ちょっとくらいなら時間や納期に間に合わなくても、連絡をしなくていい?」と、日本人ビジネスマンに聞かれたことがあります。

 

でも、韓国人とのビジネスをスムーズに進めようと思うのであれば、自分たちの時間や納期のルールはしっかり守ったほうがいいでしょう。

 

なぜなら、韓国人の「このくらいなら許される」という時間の感覚には、きっちり「○分まで」という決まりはないからです。つまり、時と場合により、「10分くらいまでなら」と感じられるときと、「10分も遅れたらまずいだろう」と感じられるときがあるのです。

 

それはおそらく、数年、韓国人とビジネスの取引をしたくらいでは理解できないものだと思います。その判断を誤ってトラブルに陥るくらいなら、日本人のビジネス習慣として、約束の時間は守るようにしてください。

 

でも、もし韓国人が5分遅れてきたとき、平身低頭で謝らなくても大目に見てあげてほしいのです。

 

韓国人の場合、いくら「自分たちは、少しくらい待たされても平気」であっても、「日本人は必ず時間通りに来る」と考えて、遅れる場合には連絡をするなどの配慮をしたほうがいいでしょう。

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    徐 丞範

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