子どもたちに起こりやすい「思春期のめまい」とは?

前回は、耳鳴りやめまいの症状を医師へ的確に伝えることの大切さを説明しました。今回は、思春期前後の子どもに目立つめまいについて見ていきます。

思春期前後の子どもに目立つ「起立性調節障害」

この連載では、主に大人の方が悩まされているめまい・耳鳴りのことを述べていきます。ですが、その前に、子どもに多いタイプのめまいに触れておきましょう。子どもたちのめまいの実態からも、めまいという症状の多様性と、めまい診療がどうあるべきかというヒントを得ることができるのではないかと思います。

 

子どもたちに起こりやすいめまいには、立ち上がった瞬間にクラッとする「立ちくらみ」や、長く立っていると気分が悪くなり、目の前が暗くなって倒れてしまったりする「眼前暗黒感」というものがあります。

 

これらは非回転性めまいの一種として、低血圧の方など大人にも見られるめまいです。しかし、「思春期のめまい」としてもよく知られています。小学校の高学年から中学・高校ぐらいまでの思春期前後の児童・生徒たちに特に目立つ症状なのです。

 

立ちくらみや眼前暗黒感をくり返す子どもたちには、ほかにも、朝起きられない、午前中は調子が出ない、夜の寝つきが悪いといった共通の症状があります。それとともに、頭痛、腹痛などを訴える子どももいます。

 

このような特徴を示すめまいは、しばしば「起立性調節障害」と診断されます。該当する子どもたちを診察・検査しても、体に特別な異常は見つかりません。逆に言えば、原因となる病気がない場合に「起立性調節障害」とされるわけです。

 

思春期前後の子どもの5~10%に起立性調節障害があるといわれますから、決して珍しいものではありません。そして起立性調節障害は、小学生より中学生に多く、中学生よりは高校生に多く表れる傾向もあります。さらに、男女別で見ると「女子に多い」というところも特徴です。

「思春期特有の生理的反応」だと考えられているが・・・

起立性調節障害の子どもたちは、小児科を受診することが多いようですが、当院にも、めまいや立ちくらみを訴えてくる子どもたちが少なくありません。

 

起立性調節障害は、子どもの訴える症状によって、適した対処・治療法が異なります。しかし、そのほとんどの症状が大人になると表れなくなることから、起立性調節障害は一般に「思春期特有の生理的反応」だと考えられています。

 

ですが私自身は、必ずしもそうは見ていません。起立性調節障害のめまいには、頭痛を伴うケースも多く、その場合は頭痛の治療も適切に行う必要があります。「女性に多く、頭痛発作が起こるケースも多いめまい」ということから、思い当たるのは片頭痛です。

 

体質的に、頭痛を伴う起立性調節障害の子どもは、将来も頭痛持ちになる可能性が高いのではないか。私はそう考えています。さらに言えば、就学期の起立性調節障害全般が、頭痛があるかどうかにかかわらず、成人してからの片頭痛に通じている可能性があると思います。

 

子ども特有のめまいといっても、そうした点を考慮し、将来を見据えて治療することが大切ではないかと考えています。

医療法人社団一医会 耳鼻咽喉科渡辺医院 院長 

1951年、東京生まれ。岐阜大学医学部卒業。東大病院分院耳鼻咽喉科助手、JR東京病院勤務を通して、めまい、耳鳴り、難聴、いびきなど多くの症状に接し研鑽を積む。1988年に渡辺医院を開業。日本耳鼻咽喉科学会専門医の資格を持つ。日本耳鼻咽喉科学会、日本めまい平衡医学会、日本聴覚医学会、日本頭痛学会、日本気管食道科学会所属。めまい・耳鳴りのみならず、耳鼻科の切り口から危険な頭痛を見抜き、片頭痛の治療を行っている。

医療法人 社団一医会 耳鼻咽喉科 渡辺医院
https://miminari-watanabe.com/

著者紹介

連載本当は怖い「めまい・耳鳴り」の基礎知識

本当は怖い めまい・耳鳴り

本当は怖い めまい・耳鳴り

渡辺 繁

幻冬舎メディアコンサルティング

めまい・耳鳴りを完治させるためには「市販薬に頼り切らない適切な対処と日常生活での心がけ」がカギとなります。 耳鼻科の切り口からめまい・耳鳴りの根本原因を見抜き、治療することに長けた著者が、つらい症状を治すための…

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