前回は、65歳以上の3割が抱えているとされる「めまい・耳鳴り」の概要について取り上げました。今回は、医師へ的確に症状を伝える重要性を見ていきます。

自覚症状を「なるべく具体的に」伝えることが重要

めまい・耳鳴りの症状が伝わりにくい理由のひとつは、症状の表れ方にさまざまなタイプがあることです。

 

まず、めまいから述べていきましょう。めまいには、大きく分けると、目の前がくるくる回るような感じがする「回転性のめまい」と、それ以外の「非回転性めまい」があります。

 

ただし、それはあくまでも区分にすぎません。患者さんは、めまいや耳鳴りの種類まで知っておく必要はありません。自覚症状をありのままに具体的に言っていただくと、医師はがぜん診療がしやすくなります。

 

「どんな感じがしているか」という体感を、自分なりの言葉で、なるべく具体的に伝えてくださるとありがたいのです。擬音やたとえを使った身近な言い方でかまいません。例えば、「目の前がくるくる回っている」とか、「急にフラッと倒れそうになる」といった具体的な訴えを聞けば、専門医ならかなり的確にめまいの状態や原因をとらえることができます。

ありのままの症状が伝わらないと、医師も診断しにくい

医師がめまい・耳鳴りを診断しにくいケースには、患者さん自身が「ありのままの症状」を伝えていらっしゃらない場合も少なくありません。めまい・耳鳴りには気持ち悪さを伴うこともあり、そうした症状のつらさなどから、うまく言葉にできない場合もあることは理解できます。

 

ただし、不安感などから、実際に感じているより大げさに症状を表現されたり、ときどき起こる発作を「ずっとめまいが続いている」と言われたりすると、医師も困ることがあります。逆に、ふだん頻繁に悩まされている症状を、そのとき感じていないからといって伏せられてしまった場合も、病気を正しくとらえ損ねる可能性があります。

 

めまい・耳鳴りは、「患者さんと医師との間に円滑なコミュニケーションができているほど、診断、治療しやすくなる」ということをまずご理解ください。そして、これから私が述べていくことを、医師とのコミュニケーションに役立てていただければありがたいと思います。

本当は怖い めまい・耳鳴り

本当は怖い めまい・耳鳴り

渡辺 繁

幻冬舎メディアコンサルティング

めまい・耳鳴りを完治させるためには「市販薬に頼り切らない適切な対処と日常生活での心がけ」がカギとなります。 耳鼻科の切り口からめまい・耳鳴りの根本原因を見抜き、治療することに長けた著者が、つらい症状を治すための…

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