世にある数多の投資の中で、知る人ぞ知ると言われているのが「米国債投資」です。本連載では、株式会社ゴールドハーツ代表・ファイナンシャルプランナーの杉山暢達氏の著書、『証券会社がひた隠す米国債投資法』(ベストセラーズ)より一部を抜粋し、米国債投資の具体的な方法について解説していきます。

「1年に1度」だけで良い米国債の購入

投資や資産運用と聞くと、「手間がかかりそう」「いつも気にしていなければならない」と考える人も多いかと思います。しかし、米国債の場合には、ほとんど手間がかかりません。必要なのは、毎年1回の購入手続きだけです。

 

つまり、米国債は基本的に〝ほったらかし〟で資産運用ができてしまう投資法なのです。株や投資信託、あるいはFXのように、投資対象の変化を気にしたり、売買のタイミングを模索したりする必要はありません。

 

特に本業がある人にとって、常に気にしなければならない投資法は負担になります。仕事をしていても「株の値段はどうなったか」「為替に変化はあったのか」と考えてしまうと、一番大切な本業に集中することができません。

 

だからこそ、多くの方は「負担がない投資法」を選ぶべきなのです。ほったらかしで資産運用ができるのなら、きちんと本業に集中することができます。もちろん、週末は趣味や家族サービスにも没頭できるのです。

 

例えば米国債において、私が勧めている購入方法をご紹介しましょう。まず1年のうちで、ある特定の日を決めます。それが米国債の購入日です。その日に、証券会社に電話して、決まった金額の米国債を買う。それだけです。

 

あとは、満期日が訪れるまで放っておく。この作業を20年なら20年、25年なら25年ひたすら繰り返すだけです。1年に1回だけでいいので、ほとんど負担にはなりません。

 

また、購入した米国債の値動きについても、気にすることはないのです。

コスト面からも有利な米国ゼロクーポン債

株や投資信託のように、証券会社から取られる手数料が気になる人もいるでしょう。しか
し、特に米国ゼロクーポン債を償還日まで保有するのであれば、購入時に手数料相当分を支払った形になり、その後は手数料はかかりません。

 

通常、株を購入したり、あるいは売却したりすると、「売買手数料」がかかります。また投資信託の場合であれば、「販売手数料」や「信託報酬」も気にしなければなりません。その点、ゼロクーポン債はコスト面からも圧倒的に有利と言えるでしょう。

 

購入した米国債は、満期日まで証券会社が管理することになります。いわゆる「保護預か
り」と呼ばれる制度です。証券会社が責任を持って預かってくれるため、自ら管理する手間は一切ありません。

 

「証券会社が倒産したらどうなるの?」と思う方もいるかもしれません。しかし、そのような心配は無用です。保護預かりによって、会社とは別勘定で保管されているため取引先の証券会社が万一倒産したとしても、債券自体は影響を受けません。

 

特に、大手証券会社の多くは上場会社であり、信頼して任せてしまって問題ありません。米国債を購入した人は、満期日までひたすら待つだけでいいのです。それこそまさに、米国債投資の醍醐味と言えるでしょう。

 

例えば35歳から毎年1万ドルの米国債投資を始めた人は、約30年後に償還日を迎えます。36歳、37歳、38歳と、毎年のようにゼロクーポン債投資を続けていれば、65歳、66歳、67歳というように、毎年きちんと1万ドルがもらえるのです。

 

老後に安定した収入を得られるというのは、それだけで将来不安の解消につながります。年金だけに頼るのではなく、ゼロクーポン債投資によって老後の収入を補完し、ライフプランを立てていきましょう。

本連載は、杉山暢達氏の著書『証券会社がひた隠す米国債投資法』(ベストセラーズ)から一部を抜粋したものです。掲載している情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。投資はご自分の判断で行ってください。本連載を利用したことによるいかなる損害などについても、著者、出版社および幻冬舎グループはその責を負いません。

証券会社がひた隠す米国債投資法

証券会社がひた隠す米国債投資法

杉山 暢達

ベストセラーズ

「え? 米国債なんて聞いたこともない」そう言われる人も多いでしょう。それもそのはず、証券会社にとって、自社にメリットをもたらさない「米国債」という商品を広告、宣伝することは、ありませんでした。結局、証券会社が売…

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