今回は、「職場の基礎代謝」を下げる公式を紹介します。※本連載は、「職場の基礎代謝®」専門家、沖縄人財クラスタ研究会の代表理事である白井旬氏の著書、『生産性を高める職場の基礎代謝』(合同フォレスト)の中から一部を抜粋し、組織の生産性を向上させる「職場の基礎代謝」と、社員の能力×職場の基礎代謝=会社の実力(組織の生産性)という考え方を紹介します。

「能力」×「ご機嫌」=実力(パフォーマンス)アップ

職場の基礎代謝を下げる公式を、馴染みやすいところで例えると、野球の「ブルペンエース」が近いといえるでしょう。

 

ブルペンエースとは、文字どおり、ブルペン(練習場)では、エース級に素晴らしいボールを投げるのに、試合になると打たれてしまうピッチャーのことをいいます。

 

「ブルペン(練習場)で良い球を投げる」=保有している能力は高いが、試合になると「不安」からくる緊張などで、「打たれてしまう」=実力を発揮できない。

 

まさに、「能力×不安=実力(パフォーマンス)低下」という公式に当てはまります。

 

あるいは、その逆もあるでしょう。プロ野球で前年最下位だったチームが、翌年、突如として優勝することが、度々起こります。

 

前年最下位ですから、球団にお金の余裕もあまりなく、大型選手の補強もままなりません。選手は、前年とほぼ同じ顔ぶれで、変わったのは監督ぐらい。これでは、ファンの目から見ても、あまり期待できそうにないという状況です。

 

ところが、2〜3月の春季キャンプの様子を見ていると(沖縄は毎年プロ野球のキャンプ地になるため間近で見学できる)、監督・コーチを中心に、選手が実に楽しそうに練習をしていて、表情もイキイキと輝いています。

 

普段は、厳しめのファンですら「あれっ? 今年はチームの雰囲気がいいな。ひょっとすると・・・いやいや」と淡い期待を抱いてしまう「何か」を感じさせています。

 

そして、オープン戦がスタート。キャンプ中の良い雰囲気のまま、選手はイキイキと躍動感に溢れ、監督の采配も見事に決まり、好成績を残します。

 

ペナントレースに入っても、その勢いは衰えず夏前には単独首位に。途中、スタミナ切れか、経験不足か、強豪球団に追いつかれて混戦模様になるも、ファンの声援が後押しとなり、最後には頭一つ抜け出して、そのまま優勝というストーリー。

 

これは、まぎれもなく、選手個々の持てる能力を、監督が中心となって引き出し、実力として如何なく発揮した結果だといえます。これを先の公式に当てはめて考えてみると、「能力×ご機嫌=実力(パフォーマンス)のアップ」となります。

 

これらは、いずれもスポーツにおける事例ですが、「能力×○○=実力」の関係は、ビジネスの世界でも同じで、次のような公式「社員の能力×職場の基礎代謝=会社の実力(組織の生産性)」でシンプルに考えることができます。

基礎代謝の向上で、事業規模が7倍になった例も

ここで、分かりやすいように、私たち沖縄人財クラスタ研究会が、「職場の基礎代謝」アップのお手伝いをさせていただいた企業のうち、良い結果を生み出した事例をご説明します。

 

[図表] 「職場の基礎代謝」が上がり、実力(パフォーマンス)がアップした一例

 

業務の効率化や労働時間の短縮、社員の定着率アップや採用力の向上、業績の回復や新規事業の立上げなど、良い結果は多岐にわたります。そして、これらの企業に対して、改めてヒアリングや分析をお願いしたところ、どの企業も、「職場の基礎代謝」が高まった→「組織の生産性」がアップした→「望ましい結果」につながった・・・となっていることが分かったのです。

 

また、「職場の基礎代謝」が高まった頃から、「何をやっても、良い結果につながる」と多くの経営者や管理職が感じていました。それだけでなく、そこで働く社員の皆さまからも、「職場の雰囲気が良くなり、仕事がスムーズになった」という意見が多く挙がりました。

生産性を高める職場の基礎代謝

生産性を高める職場の基礎代謝

白井 旬

合同フォレスト

「働き方改革といわれても、いったい何から手をつければいいのか・・・」 そんな悩みをお持ちの経営者、人事担当者、管理職の皆さま。まずは「職場の基礎代謝」という考え方を取り入れてみませんか? 健康のために代謝を…

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