他の市況等を、さほど気にせずに済む場合もあるが…
材料や指数の動きを受けにくい銘柄を中心に取引している場合は、比較的、欧米市場の動向や他の市況を気にせずに済みます。私の場合は、そのような銘柄をトレードしながらも、併行して株価指数先物でかなり大きなリスクをとっていたため、市場全体の動向予測を重視していました。
また2000年代あたりから、国内株式市場における外国人投資家の取引シェアや保有比率が上昇してくるにつれて、「日経225が、たとえば数週間かけて1500円も上がったのに、値上がりしたのは夜間の時間帯でばかりで、日本時間はほとんど動かない」というケースが増えました。
こうした状況の変化を目の当たりにして、さらに海外市場の動向予測をしっかりと行ない、引けにかけてどのようなポジションをとるかを意識するようになりました。
投資主体別の「投資行動パターン」を把握する
具体的に当時、投資主体別にどのような動きをしていたのかを整理してみましょう。
当時は、「外国人投資家が買えば、株価は上がる」などと言われていたように、外国人投資家が買えば株価は値上がりし、売れば株価は値下がりしました。また外国人投資家以外の投資主体の動きをみると、年金は株価が上がれば売り、下がれば買うという動きをし、個人投資家も逆張りが目立っていました。
年金は基本的にポートフォリオの構成比率があらかじめ一定の範囲内で決められているため、株価が値上がりして株式のポートフォリオに占める比率が上昇すると、その調整のた
めに株を売却します。
仮に、日本株の組入比率が30%だと決まっているとしましょう。株価が値上がりし、組入比率が40%になったら、そのポートフォリオは日本株の下落で被るリスクが大きくなります。そのため、基本となる組入比率を超えた10%分を売却し、30%に引き下げるのと同時に、売却した資金は、値下がりした資産に充当して、全体の組入比率を整えるのです。これを「リバランス」といいます。
年金も個人投資家も、基本的には日本時間に動きます。その結果、夜間に上昇した株価に対し、年金や個人投資家が売る時間帯は日中時間になるため、日本の取引時間中は、株価の上昇が鈍くなる傾向がありました。
しかし、日本の主市場である東証がクローズした後は、その重しがなくなるため、株価は上昇しやすくなります。株価の上昇をけん引している外国人投資家が活発に動くのもその時間帯なので、日本株の値動きは日本時間の日中よりも、夜のほうが軽くなるのです。
株価の動きには必ずその要因があります。それを理解し、自分の取引や見るべきポイントをアジャストしていくことが大切なのです。
私がスイングトレードをひんぱんに行なっていた時期は、外国人投資家の参加が非常に多く、その動向が日本株の値動きに影響を及ぼすケースが多かったため、欧米市場の動向予測をとくに重視していたのです。
また、オーバーナイトするポジション量を調整する際にも、日本時間の夜に開いている欧米市場の動向予測に注目していました。欧米市場が大幅に上昇する可能性が高いと思えば、積極的にロングポジションを持ち、あまり自信がないときは、指数感応度の低い銘柄や、個別材料に自信がある銘柄だけに絞って保有し、ポジション全体でとるリスクは少なめにしました。