今回は、株式のスイングトレードにおけるエグジットのタイミングについて見ていきます。※本連載は、業界屈指の自己売買部門を持つことで知られる山和証券の執行役員ディーリング部長・工藤哲哉氏の著書、『百戦錬磨のディーリング部長が伝授する「株式ディーラー」プロの実践教本』(日本実業出版社)から一部を抜粋し、スイングトレードで利益を出すプロの技を直伝します。

ターゲット・プライスとロスカット・ラインを決めておく

日計りと同様、スイングトレードであったとしても、エグジットがいちばんむずかしく、適切に実行できない人が多いのではないでしょうか。後でチャートを見て、「ここで利食
っておけばよかった」、「ここでロスカットしておけばよかった」と言うのは簡単ですが、場中に適切な判断を下すのはなかなかむずかしいものです。

 

ポイントは、これも日計りと同じですが、ターゲット・プライスとロスカット・ラインをあらかじめ決めておくことです。それさえできれば、エントリーと同じように、あらかじめ反対売買の注文を入れておくことが可能になります。

 

そして、エントリー時の根拠とそれに基づいたシナリオどおりに株価が動いた場合は、ターゲット・プライスに達した時点で利食い、そのシナリオを否定するような状況になった瞬間がロスカットすべきポイントになります。

 

そうなると、「何%損失が生じたらロスカットする」とか、「何%儲かったところで利食う」というように、ターゲット・プライスやロスカット・ラインを決めるのは、本質的に正しいやり方ではないと考えられます。なぜなら、何%損失が生じたらとか、何%儲かったらというのは、エントリーの根拠とは必ずしもリンクしておらず、あくまで投資家自身の都合によるものだからです。こうした決め方は、シナリオを明確に描けなかった場合、あるいはターゲット・プライスやロスカット・ラインをどう定めていいのかわからない場合に使う次善の策程度に考えておいたほうがいいでしょう。

日足ベースでは、エリオット波動分析なども活用

では、「ターゲット・プライス」や「ロスカット・ライン」をどこに置くかをどうやって決めていけばいいのでしょうか。

 

私の場合は、日計り・スイングあたりまではテクニカル分析(移動平均線とMACDがメイン)を使うことが多くあったことは前述しました。

 

もちろんトレードの期間が変われば、指標の計算期間、優先順位などは変わってきます。たとえば、スイングなど一定以上の期間をかけたトレーディングにおいては、ローソク足は日足を用い、日計りにおいては5分足を用いるなどです。

 

また日足ベースでは、エリオット波動分析なども活用して、トレンドの強弱などを想定し、順張り・逆張りでどちらを主としていくか、またアグレッシブにリスクをとりにいったり、引っ張ったりしていくか、手堅く値幅を狙わずにいくかなどの強弱をつけるなど、日々のスタンス自体を変えるようにしていました。エリオット波動分析の詳細の解説は割愛しますが、「衝撃波(第1波、第3波、第5波)にあると考えられるときは、日計りでも順張りを基本とし、なかでも第3波にある場合はアグレッシブにポジション量も値幅もとりにいく。修正波(第2波、第4波)にいると考えられるときは、日計りでも逆張りを基本とする」といったような使い方です。

 

本書籍の第3章、「プロが教える勝利の方程式1 超短期売買」では日計りにおいて移動平均線を使ってエントリーする方法、MACDを使ってエグジットする方法について解説していますが、次項ではMACDの使い方について、さらに詳しく解説していきましょう(場面が想定できないため、ここで出てくるMACDの計算期間は一般的なものを利用しています)。

本連載は、投資を促したり、特定のサービスへの勧誘を目的としたものではございません。また、投資にはリスクがあります。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、日本実業出版社、幻冬舎グループは、本連載の情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

百戦錬磨のディーリング部長が伝授する 「株式ディーラー」プロの実践教本

百戦錬磨のディーリング部長が伝授する 「株式ディーラー」プロの実践教本

工藤 哲哉

日本実業出版社

プロは何を考え、どうやってトレードをしているのか? 取引における日計り、スイング、中長期の具体的なテクニックからメンタルなど、「株式ディーラー」プロの戦略を伝授。 個人投資家にも大いに役立つ情報が満載の一冊です…

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