今回は、スイングトレードを行なうにあたっての、準備のプロセスを説明します。※本連載は、業界屈指の自己売買部門を持つことで知られる山和証券の執行役員ディーリング部長・工藤哲哉氏の著書、『百戦錬磨のディーリング部長が伝授する「株式ディーラー」プロの実践教本』(日本実業出版社)から一部を抜粋し、スイングトレードで利益を出すプロの技を直伝します。

日計りに比べ、「情報収集・分析」には手間が必要

「①情報収集→②分析→③判断」というプロセスのなかで、スイングトレードでは日計り以上に、①と②に割く手間が多くなります。たとえば、投資しようとする企業の中身を知ることはもちろんですが、加えてその銘柄のバリュエーション(割安なのか割高なのか)、チャート、材料の把握・整理、欧米市場や為替・金利・商品市場の分析および動向予測も行なう必要があります。

 

このように日計りに比べてスイングトレードのほうが、情報収集や分析に手間がかかるのは、取引の時間軸が伸び、リスクにさらされる時間とリスクに影響を与える要因が増える以上、当然のことです。だからこそHFTとは異なった観点からの取引となり、その影響を受けずに済むのです。

 

ただ、情報収集、分析に費やす手間は増えますが、日計りとは異なり、マーケットが引けた後にも、それらに時間を費やすことができます。私の場合も、取引の時間軸が長くなるほど、引け後に情報収集や分析に費やす時間が増えていきました。

日中の相場・値動きにのめり込み過ぎずに「判断」を

では、③の判断は、どのタイミングで行なえばいいのでしょうか。

 

あくまでも私の場合ですが、引け後に分析を行なう際、翌日売買しようと考えている銘柄のポジション・テイクすべき株価、ターゲット・プライス、ロスカット・ラインなどを含めてそれぞれにシナリオを組み立てていました。翌日はそのシナリオに従って指値をし、日中の値動きにはあまり振り回されないように気をつけながら、ポジションをつくっていくのです。

 

ここで強く意識しなければならないことは、「日中の相場・値動きにのめり込み過ぎないこと」です。言い換えれば、相場と一定の距離感を保つ必要があります。トレードをしていると、ついのめり込み過ぎて、余計なところで手を出したり、余計なところで反対売買してしまったりすることもあります。スイングトレードと超短期売買を両方やっているディーラーも多く、そういった場合はとくに混同しがちです。自分が何を根拠にトレードしているのか、そこを見失わないように気をつけてください。

 

ただし、前提条件となる市場全体の状況や、シナリオに変更を加えるべき要因があった場合は、それを日中に調節していました。自分が予想した動きどおりに相場が動いてくれることはほとんどありません。したがって、③の判断に関しては、「前日の引け後に行ない、日中にそれを調節する」のがいいと思います。ただ、相場にのめり込み過ぎていると、客観性を失い、調節の範囲を逸脱する場合があることに注意が必要なのです。

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    本連載は、投資を促したり、特定のサービスへの勧誘を目的としたものではございません。また、投資にはリスクがあります。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、日本実業出版社、幻冬舎グループは、本連載の情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

    百戦錬磨のディーリング部長が伝授する 「株式ディーラー」プロの実践教本

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    工藤 哲哉

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