実質利回りは、手数料などのコストを引いた家賃で計算
先生 ここまで「利回り」というと、「利回り=家賃収入÷物件価格×100」で計算していたけれど、この「家賃収入」は、ずっと満室だともらえる“満室想定時の家賃”なんだ。これを「表面利回り」と呼ぶんだよ。
ただ、実際には家賃全額が手元に残るわけではないから、あまり現実的な利回りじゃないんだ。
カナガワ君 実際にはローンを返済しなければならないし、管理費・修繕積立金は毎月かかるし、固定資産税を払わないといけないですよね。それに、空室があれば想定通りの家賃がもらえるとは限らない・・・。
先生 そうなんだ。実際に運営するとさまざまなコストがかかって、“満室想定家賃”ほどもらえなかったり、手元に残らなかったりするんだ。そこで、より厳密に、より現実に即した利回りを計算する必要があるんだよ。それが「実質利回り」といって、家賃から、手数料などのさまざまなコストを引いた家賃をもとに計算するんだ。
具体的には、
実質利回り=コストを引いた家賃収入÷物件価格×100
という計算式になるんだよ。
カナガワ君 「コストを引いた家賃収入」とは、家賃から、管理費・修繕積立金や固定資産税などを引いた金額ですね。具体的に利回りを計算してみたいですね!
<Point!>
利回りには「表面利回り」と「実質利回り」がある。
表面利回りは「物件価格に対する家賃収入(1年間)の割合」で、毎月かかるさまざまなコストなどが考慮されていない。
そのため、さまざまなコストを引いて、より現実に即した「実質利回り」を考えることも重要となる。
表面利回りの高さだけで判断するのは危険
先生 じゃあまずは、次のようなシンプルな区分マンション(1部屋)を考えてみよう。
<例題1 物件A>
●物件価格 800万円
●月々の家賃 6万円
●月々の管理費 1万円
●月々の修繕積立金 1.5万円
<解答>
表面利回りについて
まずは「表面利回り」について計算してみよう。物件価格800万円に対して、年間の家賃収入は「6万円×12か月」だよね。だから、
となるよね。
実質利回りについて
次に「実質利回り」について計算してみよう。家賃6万円から管理費・修繕積立金を払って、手元に残るのは「6万円ー1万円ー1.5万円」で3.5万円だよね。
だから、年間の本当の家賃収入は「3.5万円×12か月」で、
となるんだ。
先生 じゃあ、次の物件Bはどうだろうか?
<例題2 物件B>
次のような物件の「表面利回り」と「実質利回り」を計算せよ。
●物件価格 600万円
●月々の家賃 4.5万円
●月々の管理費 6000円
●月々の修繕積立金 5000円
<解答>
表面利回りについて
物件価格600万円に対して、年間の家賃収入は「4.5万円×12か月」だから、
となるよね。
家賃4.5万円から管理費・修繕積立金を払って、手元に残るのは「4.5万円ー0.6万円ー0.5万円」で3.4万円だよね。だから、年間の本当の家賃収入は「3.4万円×12か月」で、
となるんだ。
カナガワ君 物件Aは表面利回り9%で実質利回り5.25%、物件Bは表面利回り9%で実質利回り6.8%ですね。
先生 同じ9%という表面利回りでも、運営コストによって実質的な利回りは違ってくるんだ。だから、表面利回りの高さだけで判断するのはよくないんだよ。