ドレスデン、フランクフルトと比較すると・・・
近年、不動産投資目的でベルリンを訪れる方や、実際に投資を始められる方の数が大幅に増加するとともに、新しい動向として、ドイツ他都市での不動産投資についてのお問い合わせも、徐々に増えつつあります。ベルリン市場は現在、物件価格・賃料ともに上昇し、ドイツで今一番「熱い」マーケットと言われているのです。
投資家の方々から寄せられる要望の例として、下記のようなものがあります。
投資家A「ベルリン人気エリアの新築マンションを、予算3,500万円で購入したい」
投資家B「ドレスデンにある歴史的建造物指定の物件を、予算1,300万円で購入したい」
投資家C「場所はこだわらず、利回りをポイントにして物件を買いたい」
こういったご要望には、それぞれ適した答えがあります。ベルリンとともに、ドレスデンとフランクフルトをとりあげながらそれぞれを比較してみます。まずは、これら三都市についての基本的な情報から見てみましょう。
【経済と歴史的背景】
●ベルリン
◆建設ハブ
◆政治中心地
◆学術研究&高等教育
◆スタートアップ活発
◆観光
旧東ベルリンは東ドイツの首都だったが経済は弱かった。旧西ベルリンは西ドイツからの経済的サポートを受けつつ経済を維持。再統一後大きな成長を遂げる。
●ドレスデン
◆豊富な資源を生かした繊維&機械産業
◆自動車、半導体、材料工学等の先端技術推進
第二次世界大戦時に壊滅的攻撃を受けてからは、東西ドイツ再統一まで経済が弱く、復興が遅延していたが、1990年以降様々な重要歴史的建造物が改装されている。これが直接、ドレスデンの経済力発展を呼び起こしている(観光ブーム)。
●フランクフルト
◆ドイツ最大ハブ空港
◆欧州中央銀行始め大手銀行本社が多数集まる金融都市
もともと非常に強い経済を誇る。1999年ユーロ圏の成立により、さらなる好影響を享受している。
【文化】
●ベルリン
◆3つのユネスコ世界遺産
◆ヨーロッパ都市で最多の劇場数&博物館数
◆3つのオペラ劇場
◆多民族多言語
◆若者を惹きつけるクラブ文化
●ドレスデン
◆ドイツ・バロック建築の傑作ツウィンガー宮殿
◆戦後60年を経て修復された聖母教会
◆ワーグナーが初演を行った州立歌劇場
◆ドイツで一番人気のクリスマスマーケット
●フランクフルト
◆ドイツ最大級ノミの市
◆ヨーロッパ一の規模、フランクフルト中央駅
◆ライン川近くに集中するワイナリー
◆書籍見本市
キャピタルゲイン狙いなら注目はベルリンとドレスデン
現在、筆者が在籍するウィンドゲート・ジャーマニーで取り扱っているベルリン中心地物件のインカムゲインは、平均約3%、ドレスデン約3.5%となっています。フランクフルト中心地は2%以下となり、物価上昇率に釣り合わないため、郊外の物件がお勧めです。
同様の傾向が、ハンブルクやミュンヘンでも見られます。フランクフルトも郊外へ目を向けると利回り4%以上の物件がありますが、市場的には、ベルリンやドレスデンほどのダイナミズムが見られないため、キャピタルゲインを目指した投資には、ベルリンやドレスデンの方がお勧めです。ベルリンの魅力的なキャピタルゲインに関しては、第1回連載をご参照ください。
また、販売経験からお客様のニーズが高い物件の価格帯は、ベルリン中心地で4500~6000ユーロ/m²、ドレスデン中心地で2000~3000ユーロ/m²、フランクフルト中心地で5000~7000ユーロ/m²となっています。フランクフルト郊外は2000~3000ユーロ/m²です。
一方、賃料平均を比較すると、ベルリン中心地は10~15ユーロ/m²、ドレスデン中心地は8~10ユーロ/m²、フランクフルト中心地は12~16ユーロ/m²となっています。勿論ベルリンにも2ndTierの物件があり、2500~3500ユーロ/m²の価格帯となっています。1stTier(ベルリン中心部)、2ndTier(ベルリン中心部以外)については、第3回連載で詳しくご案内していますのでご参照下さい。
売買物件の選択肢が増えるのは、ベルリン中心地ですと2800万円から、平均的物件サイズがベルリンより小さめのドレスデンでは1300万円から、フランクフルト郊外は2000万円から(一平米あたりの金額はドレスデン中心部より低いですが、平均的サイズはドレスデンより広くなるため)というのが、弊社の経験値となります。
ドレスデンはベルリンと比べ、より小規模な投資に向いていますが、歴史的建造物の購入機会がまだ存在しており、注目が着実に高まりつつある街です。一方フランクフルト郊外は、これら二都市とは全く異なる戦略(インカムゲイン中心)に適した市場と言えるでしょう。