旧東ドイツ国内に存在したことから地価が割安に
海外不動産といえばアジア・アメリカが多い中で、ヨーロッパの不動産、特にドイツの不動産と聞いても、ピンとこない方も多いのではないかと思います。ですが、先進国ドイツの中でもベルリンの不動産は大きな魅力を秘めており、実際、ヨーロッパの不動産投資界はもとより、世界の不動産投資家から注目を浴びている街となっています。
本連載では、ベルリン不動産の魅力を徹底的に解説する予定ですが、今回は、その全体像をざっとご紹介しましょう。
①他の大都市に比べて地価が割安
ここ10年、ベルリンは地価が上昇中で、キャピタルゲインを得られる機会が持続しています。特に近年のミッテ区(いわゆる中央区)は、年率10%以上の価格上昇を遂げています。
しかし、それでも、パリ、ロンドン、東京といった世界の大都市、あるいは同じドイツでもミュンヘンやフランクフルトに比べると、まだまだ地価は低いといえる状態です。
地価が低い理由は、ドイツとベルリンが歩んできた歴史と関係があります。
第二次世界大戦とその後の冷戦の影響を大きく受けたベルリンは、旧東ドイツ国内に存在したために、西ドイツが経済発展を遂げるなかでも大きな開発が進まず、東ドイツ経済の停滞が影響して、地価はなかなか上がらなかったのです。
1989年の東西ドイツ再統一後、ようやく地価は上昇し始めましたが、45年間のブランクが大きく影響し、現状の地価はまだ東京やロンドンの半分程度です。もちろん、ベルリンは経済大国ドイツの首都であり、それにふさわしい地価水準に近づいていくことが容易に想像できます。
右の写真はベルリン・ミッテ区「ポツダム広場」周辺の変遷ですが、これを見ると、統一を契機にベルリンという街が大きな変化を遂げていることが分かると思います。
②低空室率でインカムゲインの期待値も高い
ベルリンの空室率は平均2%という低さです。そのため利回りが期待でき、安定した賃料収入が見込める可能性も高くなります。
③減価償却による節税も狙える
これは日本人にとってのメリットですが、ベルリンで頻繁に売買される築数十年のレンガ・石造りの中古建物の場合、日本では7年での償却が可能です。日本と違って中古物件でも建物比率が高く、償却メリットが享受できることもあります。
④資産の分散先としての安心感が高い
ベルリンは建築水準が高く、エコ対応、高断熱なども進んでおり、長期保有しても安心です。有史以来ほとんど地震が記録されておらず、東京の地震・インフレ対策として、資産を分散させるにも適した場所だといえます。また、発展途上国で時折みられるカントリーリスクや、デベロッパーの破たんリスクが低いのも魅力だといえます。
⑤不動産取引の法整備が進み、透明性が高い
法整備が進んだ先進国のドイツは、取引のルールが明確で、不動産登記などの制度もきっちりと整備されています。また、先進国ならではの巨大な中古不動産マーケットもあり、築50~100年の物件でもキャピタルゲインを得るチャンスがあります。