前回紹介した、ベルリンで進む製造・ロジ関連の大型投資プロジェクトに引き続き、今回は、メディア、通信サービス、アート分野の大型投資プロジェクトの例を見ていきます。

ドイツで最も影響力を持つ出版社によるビル建設計画

大手新聞社、出版社等、メディア系企業が集中するミッテ地区
大手新聞社、出版社等、メディア系企業が集中するミッテ地区

ドイツ国内新聞社で最大規模を誇るアクセル・シュプリンガー社は現在、ベルリンのミッテ地区にある既存のオフィスビルの向かいに、新たなHQビルを建設計画中です。

 

約1万4000人の従業員を抱える同社の新聞発行総部数は、市場全体の20%以上を占め、ドイツで最も影響力を持つ出版社として知られています。企業全体としてデジタル化の強化を進めており、特にこの部門の拡張を踏まえ、新しいオフィスの建設に踏み切りました。

 

 

ドイツ国内だけでなく、海外の建築会社も合わせた18社でのデザイン・コンペを開催し、「現代の働き方に合う柔軟なオフィス環境」をコンセプトに据えた、オランダに本社を置く建築デザイン事務所のデザインが選ばれました。

「マルチリンガルな人材」を獲得できるベルリン

ベルリンは、個人向けカスタマーサービスを提供するコールセンターに加え、近年、B2Bのサービスに長けたTele-Organisation(通信による企業相手のカスタマーサービス)センターが増加しています。優秀でマルチリンガルな人材獲得、優れたインフラ、カスタマーサービスのプロを養成する専門学校、講座などが数多く存在していること等が、この動きの原動力となっています。

 

186ヶ国語に及ぶ言語を母語とする人々が暮し、上記のような職種応募者の94%は最低2ヶ国語に長けているというベルリン。現在、通信カスタマーサービス従事者は、2万5000人以上となっています。

 

世界最大の総合化学メーカーBASFは、約1000名規模の従業員を有する通信センターをクロイツベルク地区に設置。ドイツ銀行は、強力なリスクマネージメント対策としてこのモデルを導入し、シャーロッテンブルク地区に約700名の従業員を配置しています。

 

その他、充実のオンラインサービスで顧客のニーズに応える旅行会社大手のOpodo、また、自動車メーカーのメルセデス、フォルクスワーゲンも、同様のサービス拠点をベルリンに据えています。富士通テクノロジー・ソリューションズはベルリンにテレセールスセンターを置き、400名以上の従業員が通信部門で活躍しています。

 

工場跡をアトリエなどに再生し、新たな活動拠点へ

オーバーシェーネワイデ地区
オーバーシェーネワイデ地区

ベルリン南東部に位置するオーバーシェーネワイデ地区は、19世紀後半から一大工業都市として栄えたエリアです。東西ドイツ再統一まで、全ての工場は国営となっていましたが、ベルリンの壁崩壊後は2万5000もの職が失われ、町は一時期荒廃しました。

 

1991年以降、この地の工場群は文化財として保護され、1995年以降、リノベーションプロジェクトが活発になってきました。

 

 

2007年までには80%の建物が改装され、1997年にベルリン技術経済大学(HTW)キャンパス完成してからは、若者や家族連れが多く越してくるようになりました。現在、工場跡は、手工業工房、アトリエなどに利用されています。巨大な空間をダイナミックに、そして多様に活用できることに熱い関心を寄せるアーティストも多く、中でもミュージシャンのブライアン・アダムスが、ある工場一角を丸ごと購入した話は有名です。

 

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