下世話→気遣いの「心理的ギャップ」が相手の心に響く
接客の極意その3は、相手への気遣いの見せ方だ。
接客するときは、相手が予想もしないような気遣いを見せ、「この人は自分のことのように考えてくれている」と相手に感じさせることが大切だ。
そのためには、あえて心理的なギャップをつくって、あなたの気遣いをアピールするのがいい。私も初対面の人と会うときなど、最初はわざと下世話な話、顰蹙(ひんしゅく)をかう話、テレビなら「ピー」音が被さるような話をするのだ。それを聞いた相手が「この人は・・・。とても付き合いきれないな」と思った瞬間に、気遣いタップリの決め台詞で一気に相手の評価を逆転させるのだ。
車での移動など顧客と長時間にわたっていっしょにいるときなどに、とくに有効だ。長時間にわたって気を遣いすぎるとお互いに疲れるし、次第に気を遣っているのか遣われているのかわからなくなる。こんなときこそ、この心理的なギャップを演出してあげると、相手もリラックスできてガードがはずれる。その瞬間あなたが切り出す一言は、相手の心に響くこと請け合いだ。
「オウム返し」と「うなずき」を使い、相手の心を開く
接客の極意その4は、オウム返し効果だ。
対面販売などのテクニックとして、顧客の話したことを、そのままオウム返しすると販売効果が上がるという話は知っている人も多いだろう。
しかしこの方法は慣れも必要だし、長時間顧客といっしょにいるような場合だと、不自然で会話がギクシャクすることもある。そんなときに有効なのが、相手の名前をオウム返しする方法だ。やり方自体はごく簡単で、何か先方が話をしたら、区切りのいいところで合いの手を入れるのだ。相手が鈴木さんであれば「はい。鈴木さま」。必ず相手の名前をオウム返しすること。
どこで入れるかは、慣れてくればだんだんわかってくるが、相手の話が長くなったり、論旨が不明確になってきて相手が自分の話に自信がもてなくなってきたような素振りが見えたら「はい。鈴木さま」と言葉をはさんであげる。そうすると相手は安心し、こちらに心を開いてくれるようになる。
同様の効果は、うなずきにもある。接客の極意その5は、うなずき効果だ。接客をするときは、常に相手のいうことにうなずく。とくに自分のいいたいことをどんどん話すタイプの人には有効だ。
どちらも最初は、こんなことで効果があるのかと疑問に思うが、やってみると効果があることに驚く。最初にも書いたように、接客の極意はなんといっても自分の気持ちを素直に相手に伝えることだが、一見その対極にあるようなこうしたテクニックも、対人関係をスムーズにするには無視できない力をもっている。とくに若い人はこうしたテクニックを馬鹿にしがちなので注意が必要だ。
接客の極意とは
------------------------------------
1 接客とは「有難う」という気持ちを先に相手に伝えること
2 接客するときは目線をそらさず心眼で話しかけること
3 接客するときは、相手が予想もしないような気遣いを見せ、本心から自分のこととして考えていると相手に感じさせること
4 接客するときは、必ず相手の名前をオウム返しすること
5接客するときは、常に相手のいうことにうなずくこと