中小企業のリーダーは「人柄」で選び、育てる
いくら中小企業といっても経営者であるあなたが、すべての社員の面倒を見られるわけではない。やはり幹部、そしてリーダーとなる社員の存在が不可欠だ。現場に安心できるリーダーがいなければ、社員はその力を十分に発揮できない。経営者は現場の社員が十分に力を発揮できるようなリーダーを育てる義務があるともいえる。
そうはいっても中小企業の場合、リーダーになれる社員は限られてくるので、減点法でリーダーを決めるのではなく、先にも述べた「自立型社員」の中からリーダーとなる社員を、その人柄から選ぶとともに、努力目標として次の要件を満たすように求めるとよい。
部下の前で「落ち着いた態度」を見せているか?
(1)連絡は部下からと思っていないか
これは経営者自身にもいえることだが、連絡や報告は部下からまずさせて、自分からは気が向いたときにすればいいと思っていないだろうか。リーダーは常に自分から情報を発信する姿勢をもたないとダメだ。
たとえば、当時売上日本一の三越を超えたダイエーの創始者である中内功さんは、新聞をはじめさまざまな資料に目を通すとき7色の鉛筆を用意して発信する部署別に色を変えて囲んでいたという。
朝礼とか夕方のミーティングなどは単に部下からの報告や連絡の場とするのではなくて、リーダーが主導権を握って発信する場にすることだ。常にリーダーが情報を発信していれば現場は常にリーダーの色に染められ、一体感をもって目標に向かって頑張れる。
(2)常に部下の前で落ち着いた態度をとれるか
当たり前のことだが、何か事が起きたときにリーダーがあたふたしたのでは現場の社員は不安になるし、混乱する。何が起きても部下の前では落ち着いた態度をとれるリーダーであってほしい。
ここでのポイントは「部下の前では」というところだ。内心は動揺していてもいい。だが部下の前では、それを表に出さないことが重要なのだ。むしろ気が小さくて動揺しているが、「リーダーだから」と意識的に動揺を抑えているようなタイプの方がリーダーにはふさわしいかもしれない。いつもどっしり構えているように見えるが、実際は鈍感で事態の深刻さがわかっていないよりは、ずっといい。
もっともリーダーにふさわしくないのは、こうした場面でヒステリックになって、部下に当たり散らすようなタイプだ。こうしたタイプにつける薬はない。