経営者や上司の期待が、若手社員を素直にさせる

人間には素直さが必要だ。社員をうまく育てるにはこの素直さを伸ばしてやることも大切だ。とくに若い社員は、ときとして背伸びをしてみせたがる。皮肉な表情を浮かべたり斜に構えたりするのは、いつの時代も変わらない若者のポーズだ。その背後にあるのが羞恥心であったり自己愛であったりすることは、すでにふれた。

こうした若手の社員も自分の考えややり方を認められたり、支持されたりするだけで、素直さを取り戻すことがある。本業はまだまだでも定期的に行う社内のレクリエーションの企画・実行などを任せてみるのもいい。本業では日々厳しくとも、まだまだ芽が出ずとも、経営者や上司から必要とされ期待されていると感じるだけで素直な気持ちになれることがある。ここが重要だ。

羞恥心や自己愛で凝り固まっている若手の気持ちをほぐし、日々の仕事に感動をもたらしてくれるのは、素直さをおいてほかにはない。素直さが出てくると仕事のうえで多くの感動を得ることができるようになる。成長の階段も一歩のぼることになり、そうなると日々の仕事にさらに真心をもってあたることができるようになるのだ。そして、日々の仕事が自分を豊かにしてくれることに気がつく。そうなれば「愛」までは、もう一歩だ。

経営者は社員たちを「笑顔」で送り出し、迎え入れよ

笑うことは動物社会で人間だけに与えられた素晴らしい特権である。「笑う門には福来たる」というが、笑顔のあるところには、必ず安心と安全がある。どんなに厳しい環境に置かれても、自分を笑顔と笑いで受け入れてくれる場所があれば、なんとかなるものだ。そういう意味では会社が常に笑顔と笑いに包まれていれば、社員たちは安心して顧客のところへ出掛けて行けるし、そこでどんなトラブルに見舞われても大きなストレスを抱えることなくもどってくることができる。

ただ、会社をこのような社員に安心安全を与えてくれる場所にするのは簡単なことではない。いくらお金をかけて豪華な社屋を建てても、そこに冷たく湿った空気しか流れていないのならば価値はない。

経営者の器が問われるのはまさにこういう部分だろう。こんなときこそここで紹介した「引き寄せ効果」をうまくつかって、社員も顧客も笑顔になれるような会社にしたいものだ。