業績に無関心な社員は、その場で注意して改善を促す
いわれたことさえやっていれば給料がもらえるという非自立型社員の考え方は、大企業ならある程度許される。むしろ何割かはこういう社員がいてくれないと困る面もあるのだ。高度にシステム化された大企業では、指示されたことだけを的確にこなしてくれる社員も必要だからだ。
しかし中小企業では、そうはいかない。常に社員には自分の給料に見合う働きをしているかを考えさせなくてはならない。もし会社の業績に無関心な態度を見せるような社員がいたら、その言動を見逃さず、経営者はその場で注意し改善すべきだ。
しかし経営者がそれを注意すると、非自立型社員の中には「会社が雇用した以上、社員に給料を払う義務がある。また社員には給料をもらう権利がある」と正面から主張してくるものがある。同僚や部下にだけ陰でこそこそ主張する人間にくらべれば、このように経営者や上司に面と向かって権利を主張する人間は、見どころがあるといえるかもしれない。
もちろん経営者はこうした主張が出てきたときには、権利には責任がともなうことを教え諭し、その社員が給料分(権利)の仕事(責任)を全うしているのかどうか、検証してみることが大切だ。そこを曖昧にしてはいけない。
失敗の分析ばかりする社員には、改善案を出させる
また非自立型社員には、失敗の原因探しはうまいが改善提案が出てこないという特徴がある。
失敗の原因探しがうまいというと聞こえはいいが、所詮は「岡目八目」のことわざ通り、自分に当事者意識がないから、会社や経営者、上司のやることをいちいち批判できるのだ。もし会社のためを思っているのなら、失敗する前に少なくとも「それは考え直しましょう」と提案できるだろう。
もちろん会社には組織があって、自分がどうこういえる立場ではないかもしれない。だが本当に会社が大切ならば(愛があれば)、役職とか立場とかを超えてそうすべきだ。社員が100人にも満たないような中小企業であれば、社内のどこから声を上げても経営の中枢に届くはずだ。
にもかかわらず、それをしないのは所詮、ひとごとと思っているからにほかならない。すべてが終わってからなら、だれにだって失敗の原因は思い当たる。しかしそれを多くの社員が声高にいわないのは、その行為が天に向かって唾を吐くのと同じ行為と知っているからだ。何度も繰り返すようだが、非自立型社員はそこに気がつかない。自分の立ち位置というものが見えていないのだ。
失敗の分析は、次に同じような状況が起きたときどう対処するかという議論に結びつかなくては意味がない。非自立型社員には、その発想が決定的に欠落しているのだ。
中小企業が生き残れるかどうかは、現場の社員の能力・意識のボトムアップにかかっている。それなしには大企業相手の競争には勝ち残れない。だからそうした厳しい競争の中にあって、内側から会社の競争力を崩壊させかねない非自立型社員の身勝手な行動を、経営者は許してはいけない。
そして社員は非自立型社員から脱却し、自立型社員への道を歩むべきだ。