今回の利上げは市場の「予想どおり」だったが・・・
米連邦準備理事会(FRB)は3月20-21日で開催した米連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%引き上げ、1.50-1.75%とすることを決定した。今回の利上げは市場の予想どおりで驚きはない。なお、FOMCでは、年内にあと2回、今回を合わせて合計3回の利上げを予測しているとの従来の見通しを変えなかった。
2018年に入って雇用の伸びは堅調に推移しており、失業率は低い。一方で、GDP伸びの予想はやや引き下げ。2月には株価の調整が一時的に強まる波乱の展開もあり、FOMCの判断に何らかの変化があるか注目されていたが、今回の発表で見通しに変化はなかった。
FOMCの声明にある通り、家計支出や企業の設備投資の伸びの速度は、昨年10-12月期の堅調な数値を下回り、経済活動の拡大ペースは緩やか。これに加えて、全体のインフレ率と食品やエネルギー以外のインフレ率はともに2%(前年同月比)を下回っており、現時点で年内の利上げ見通しを4回に引き上げるのは尚早だと判断されたのであろう。
なお、金融政策の運営姿勢は、引き続き「緩和的」であると表現されており、さらなる労働市場の拡大と、2%のインフレへの持続的な回帰を支える、一見「ハト派」的なメッセージとも読める。
「年4回」の追加利上げシナリオはあるのか?
FOMCが示した経済成長率見通しは2.7%と、昨年12月時点の予想から0.2%引き上げられた。米国経済は依然として順調な成長軌道にあるとの見方をFRBは維持していると読める。結果としてFOMCの金利見通し(いわゆるドットチャート)の中央値は動かなかったが、筆者は、インフレ指標の動向次第で、「緩和的」なスタンスを変更する(すなわち、年内4回の利上げが実施される)可能性は十分にあるとの見方を変えていない。
FOMC声明が、景気に自信を示し、足元緩和的であると表現した点は、2月に粗い値動きを見せた株式市場への配慮も滲(にじ)む。しかし、上述の通り年4回の追加利上げシナリオは燻(くすぶ)るため、債券利回りへの上昇圧力は未だ残っている。金利上昇シナリオに敏感になっている株式市場が安定軌道に戻るとみるのは楽観的過ぎるだろう。引き続き、インフレ指標に十分配慮しながら 、慎重な投資スタンスを維持したい。