前回は、きちんと利益を生むために、不動産の経営責任はだれが持つべきかを説明しました。今回は、賃貸住宅を経営する大家として持つべき「心構え」を見ていきます。

賃貸事業を成功に導くには「経営者としての軸」が必要

動機はどうあれ、土地活用に乗り出し、そこに賃貸住宅を建てて経営するということは、大家さんになるということです。

 

経営を意識し、賃貸事業を成功に導くには、この「大家」業とは何かという点にも定見を持っておくべきです。それは、賃貸事業をどうとらえ、何を大事にしていくのかという経営者としての軸を定めることになるからです。

 

一昔前の大家さん像というと、いわゆる左団扇の印象が濃かったかもしれません。あくせく働く必要がなく、ゆったりと暮らしているイメージです。

「入居者の居住継続」を第一に考える

大家業の心構えとして「なるほど」と思い知らされたある大家さんの言葉があります。東京区部で賃貸住宅を経営する、その高齢の女性大家さんはこう言うのです。

 

「大家業なんてたまたまやっているだけよ。不動産を今は仮に祖先から預かっているだけだから。これを、次の世代にしっかり引き継いでいくのが、私の使命なの」

 

その大家さんは不動産賃貸業をもじって、「不動産ちんたら業」と呼んでいました。不動産を所有していて、一日や一カ月で所得が倍になることは決してないが、自分が眠っていても何がしかの家賃が入ってくる、といったことのたとえでした。

 

マイペースが一番。市況がいくら良くなったからといって、家賃を大幅に上げるようなまねはしたくないというのです。不動産から収益を上げることではなく、それを次の世代に引き継いでいくことこそ、自らの使命と考えていたからこその考え方です。

 

経営者としては、事業の継続を第一に考えてきたということでしょう。それには、今の時代は入居者に長く住み続けてもらうことが不可欠です。入居者の居住継続こそが賃貸事業の安定と継続をもたらすのです。

本連載は、2014年6月12日刊行の書籍『変形地の価値を高めるマンションづくり』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

変形地の価値を高める マンションづくり

変形地の価値を高める マンションづくり

宮坂 正寛

幻冬舎メディアコンサルティング

別荘地のような斜面地、一角に他人の土地を挟む変形地、奥まった場所にある旗竿地…。 活用をためらってしまうような条件の悪い土地を活用するためには、その土地の潜在価値を引き出すことが重要です。本書では、そのために必…

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