資金の使い道は「住戸単位」で整理しておく
建物はおおむね築10年以上で、何らかの手を入れる必要に迫られます。備えを怠ると、その段階になって初めて必要な資金を確保しなければなりません。
しかも築10年以上というと、空室が発生し始める時期です。資金需要の一方で収益にかげりが出始める、そのダブルショックを受けることになってしまいます。
将来への備えといっても、決して難しいことではありません。こんなふうに考えてみてはどうでしょうか。
今、経営にあたっているのが、総戸数20戸の賃貸住宅としましょう。見込まれる家賃収入を何に使うかを、住戸単位で単純化して考えるのです。
例えば、20戸のうち8戸分は借り入れの返済に、2戸分は将来のメンテナンス費用に・・・という具合です。こうしておくと、必要な資金をきちんと確保しておくことができるでしょう。メンテナンス費用も忘れずに確保できるはずです。
20戸のうち2戸分くらいは自身の小遣いとすることもできるでしょう。こうしておけば、仮に空室が2戸発生しても、「これは小遣い分だから、入居者を焦って確保することもないだろう」と落ち着いていられます。
収益の使い道を整理することで判断ミスを防ぐ
ともすると、空室が発生した時点でまるで借り入れの返済資金の確保に支障が生じかねないような焦りを感じ、家賃を下げるなど無理して入居者を確保してしまったりするものです。
しかし、いったん家賃を下げてしまうと、それを元に戻すのは至難の業です。他の住戸の家賃設定にマイナスの影響も及ぼしますし、他の部屋の住人から家賃の値下げ交渉を受けることもあります。
収益の使い道を住戸単位で考えておけば、こうした焦りの生み出す判断ミスを防ぐことができます。もちろん、もっと細かな数字で把握できていればそれに越したことはないのでしょうが、誰にでも受け入れられるかというと別問題です。
こうした単純化した考え方は誰でも抵抗なく取り入れられるのがいい点です。ぜひ実践してみてください。