メンテナンスを定期的に行い、資産価値を守る
建物完成後のこととしてぜひ考えておきたいのは、メンテナンスのことです。
建物は完成すれば、それ以降、次第に古くなっていきます。躯体と呼ばれる構造体を形づくるコンクリートや鉄骨・木材といった部材は基本的に長持ちするはずですが、それはあくまで、屋根や外壁といった躯体を守る外側の部分がしっかりその機能を果たしているという前提に立ってのことです。
完成から一定の期間が経過したら、葺き替えや塗り替えといったメンテナンスが欠かせません。
分譲マンションと比べてください。分譲マンションでは12〜15年のスパンで長期修繕計画を立てています。
これは、将来にわたっていつどのような修繕工事が必要になるのかを見通し、それをもとに、将来の修繕工事に備えて積み立てておくべき修繕積立金の額を明らかにしようとするものです。将来のメンテナンスをあらかじめ想定しているのです。
それは、分譲マンションの資産価値を維持しようという考え方に基づいています。自ら居住するだけでなく、将来第三者に売却する、賃貸するということを考えると、こうした資産価値の維持は不可欠です。
事情は土地活用の一環として建設された賃貸住宅でも同じはずです。資産価値の維持を前提に考えないことには、借り手は見つからなくなってしまうでしょうし、仮に丸ごと売却するような必要が生じたとしても、買い手がつきません。
適切なメンテナンスが建物には欠かせません。
事業を継続させたいのなら「受け身」はNG
ところが実際には、賃貸住宅ではメンテナンスへの意識が薄いように感じます。それは一つには、賃貸住宅の経営に乗り出すことになった動機にも関係しているでしょう。
例えば相続税対策など、受け身の動機から賃貸住宅の経営に乗り出すことになった場合は、経営への意識が低いのです。
だから、必要なメンテナンスを必要な時期にしっかり実施し、事業の継続を図ろうという気概に乏しい方が多いように思います。しかし、それではいけません。将来への備えを怠ると、大変です。