将来を見据えて、想定リスクへの対策を準備
土地活用を図る場合には、将来まで見すえる視点がとても大事です。建物が完成し入居者がいったん確保できさえすればそれで安心というわけでは決してないからです。
建物は当然古くなっていきますし、入居者が退去するリスクもあります。収支は必ずしも、事業計画通りに推移していくとは限りません。その一例では、銀行の貸出金利も頻繁に変わっています。
事業計画の段階から、例えば借り入れや将来の相続税対策を検討したりする場合もあるでしょう。そのような場合には自ずと将来のことを考えることになります。そうした機会を見て、将来を意識することが必要です。
借り入れでいえば、建築の場合、その期間が一般に、20年、30年と長期にわたるのが特徴です。したがって、借り入れの当事者になる土地所有者が高齢者の場合には、金融機関はお子さんをはじめその子孫の返済能力まで見ることがあります。
土地・建物は共有にせず、区分所有にしておく
先々の返済能力が見られるとなると、相続後のトラブルが心配です。その時、相続人の間でもめないように、あらかじめトラブル防止を心掛けておくと安心でしょう。土地活用との関係でいえば、相続財産の一つになるだろうその土地・建物の権利関係をどのようにするのがいいかという点が一つ挙げられます。
ポイントは、土地・建物を共有にしないで、区分所有にしておくということもその一つです。
相続の段階で相続人の共有財産にしてしまうと、その後、相続人の誰かの返済が滞ったことからその持ち分を処分する必要が生じても、他の共有者の承諾が必要なので、スムーズに事が運ばない恐れがあります。売るに売れない状況に陥るリスクがあるとなれば、金融機関としては望ましくありません。
これに対して区分所有にしておけば、それぞれの事情に応じて持ち分を処分することが可能です。仮に相続人の誰かの返済が滞っても、その持ち分を処分すれば済むのです。これなら、金融機関としても融資を実行しやすいでしょう。
借地権と同様、流動性が低く市場で売りにくい土地・建物は担保価値が認められにくいものです。土地活用の段階で将来の流動性にまで目を向けておく必要があるのです。