借地人でも「建物完成時」には融資を受けられる
事業計画を立てる中では、土地活用を図ろうとする土地所有者の要望や悩みに応える必要も出てきます。それらの要望や悩みに応えながら、ともに事業計画をつくり上げていくのです。事業を進めるには現実との調整が欠かせません。机上の計画に意味はないのです。
土地活用を図ろうとする場合のそうした要望や悩みの一つには例えば、資金調達の問題があります。土地所有者であれば土地を担保に融資を受けることが可能でしょうが、借地人であればそう簡単にはいかない場合があります。
借地人の持つ借地権は、流動性に欠けるため担保としての価値が低くなるのが実情です。したがって、借地人が土地活用を図ろうと思っても、その借地を担保に資金を調達することが思うようにはいきません。そのため、担保価値のある土地を持つ土地所有者と違って、必要な資金を確保しにくいのです。
ただ、建物が完成すれば、それと併せて担保価値が認められることはあります。借地権の場合、土地だけでは認められにくい担保価値が、建物と一体になることで認められるようになることがあるのです。つまり、建物完成時には融資を受けられるのです。
建設会社に一時的に融資をしてもらう
このような場合には、施工を担当する建設会社を交え、借地人にとって無理のない建設コストの支払い条件を提案したりもします。
建設会社に対しては通常、工事の進み具合に応じて費用を支払います。工事の着手時、中間段階、完成段階、と大きく3つの時期に分けて支払うのが一般的です。借り入れに頼るなら、工事の着手時、遅くとも中間段階までに融資を受けられていないと、必要な支払いを実行できないことになります。
そこで、建物完成段階でしか融資を受けられないことを前提に、支払い条件を見直してもらう提案をするのです。
例えば、工事の着手時には建設コストの10%だけ支払い、残りの90%は完成段階まで先延ばししてもらうという条件が考えられます。この条件であれば、借り入れに頼る借地人にも支払い可能です。これは事実上、建設会社に一時的に融資してもらう方法ということもできます。