今回は、事業における「現金収入」の重要性をあらためて解説します。※本連載は、不動産経営コンサルタント・三つ星オフィスビルプロデューサー・不動産鑑定士として活躍する、釜口浩一氏の著書『これからのビル経営 利益を生み続けるための基本がここにある』(キョーハンブックス)の中から一部を抜粋し、ビル経営において長期安定した収益を確保するための財務視点をご紹介します。

帳簿上黒字でも、現金不足で仕入れ代等が払えないと…

貸ビル業に限らず、事業は、現金があれば、継続して行うことができます。日本の企業のうち約7割が赤字企業(法人税申告)だと言われていますが、これは、赤字であっても、仕入れや従業員の給料などの事業経費を払い続けることができているから、企業が存続できるわけです。

 

逆に、黒字倒産というものがあります。これは、損益計算上は黒字であっても、現金不足により仕入れ代金等を支払えなくなった場合に発生します。売掛金が多い企業であれば、売上が増えていても代金回収するまでの期間が長期になれば、回収までの様々な経費は別のところから資金を工面しなければならないからです。

ビル運営のため、毎月の固定支出が発生する貸しビル業

貸ビル業の場合、通常、建物建築資金等、不動産を手に入れるためには、自分のお金だけでなく、金融機関からの借り入れを併用します。そうすると、毎月、借入金の元本と利息を返済します。また、ビルを運営するために、清掃や設備点検、警備などの諸々の固定的な支出があります。借入金の元利金返済、毎月の運営経費が固定的な支出として発生します。

 

少なくとも、これらの支出をまかなえる現金収入が必要です。

本連載は、2015年9月28日刊行の書籍『これからのビル経営 利益を生み続けるための基本がここにある』(キョーハンブックス)から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

これからのビル経営 利益を生み続けるための基本がここにある

これからのビル経営 利益を生み続けるための基本がここにある

釜口 浩一

キョーハンブックス

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