今回は、大きく変化しつつある都市農家の現状と今後の課題を見ていきましょう。※本連載は、株式会社アレース・ファミリーオフィス代表取締役、アレースグループ代表で、一般社団法人相続終活専門士協会代表理事を務める江幡吉昭氏の著書、『500㎡以上の広い土地を引き継ぐ人のための得する相続』(アスコム)の中から一部を抜粋し、地主、都市農家など広い土地を引き継ぐ人のために、「得する相続」の鉄則を紹介します。

都市部の農地の相続税評価額は「相当高い」

都市農家のみなさんは多くの場合、代々農業を営み、「家」を守り続けてきた誇りがあります。土地への思い入れが強く、なかなか思い切った対策をとることができません。

 

都市部の農地の場合、相続税の評価額は周辺の地価に基づいて算出されます。農地だからといって、隣のアパートや駐車場の土地より評価額が大幅に低くなるわけではありません。相続税の評価額は相当高く、相続税も多額になります。

 

相続税の支払いを当面、避けるために相続税の納税猶予を受けるという手もあります。しかし、その場合、農業相続人は死ぬまで自ら耕作し続ける義務が生じます。

アパート・マンション経営は、今後ますます厳しく・・・

そもそも、都市農家のあり方はいま大きく変化しています。

 

農林水産省が2011年に公表したレポート(「都市農業に関する実態調査結果の概要」)によると、都市農家の年間所得は約600万円。そのうち「農業所得」が占める割合は約25%に過ぎません。

 

所得のうち約65%は「不動産経営所得」です。いまや都市農家の主な収入源は、アパートやマンションなどの賃料収入であることが分かります。

 

問題は、不動産経営を取り巻く状況が決して楽観できないことです。

 

高度経済成長の頃は、所有する土地にマンションやアパートを建てれば、放っておいても入居者が見つかりました。しかし、少子高齢化が進み、人口も減り始めたいまは違います。都市部でも空室が増え、賃料は低下。アパートやマンションを建てるために金融機関から借りたローンが返済できなくなるケースも増えています。

 

今後は、アパート経営、マンション経営はますます厳しくなるのではないでしょうか。貸駐車場も貸倉庫も同じです。

 

[図表]都市農家の所得の内訳

※農林水産省「都市農業に関する実態調査」[平成23年)
※農林水産省「都市農業に関する実態調査」[平成23年)
500㎡以上の広い土地を引き継ぐ人のための得する相続

500㎡以上の広い土地を引き継ぐ人のための得する相続

江幡 吉昭

アスコム

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