土地の状況は「必ず自分の足で」確認しにいく
鉄則④
得をしたければ、遠方であっても必ず自分の目で土地を見るべし
相続対策にはいろいろなやり方があります。解説書などもたくさん出ています。しかし、相続対策は複雑なパズルを解くようなものです。
相続人のうち誰がどの資産を引き継ぐのか、そのためにどのような方法を使うのか。同じような家族構成と資産内容であってもケースによって正解は違います。机上の議論で相続対策をしていてもうまくいきません。
例えば、所有する土地の上を高圧電線が通っていたり、隣に嫌悪施設があったりすれば、土地の評価は当然、変わってきます。土地の状況は必ず現場を見て判断しなければなりません。足を使い、汗をかいてはじめて、ベストの相続対策が見えてきます。
資産を受け継ぐため、地主から「経営者」へと進化せよ
鉄則⑤
いざとなったら土地を売る勇気を持つこと
地主や都市農家のみなさんはどうしても、いま所有している土地を守ることに意識が向きがちです。年配の方々は特にそうです。そのためつい「土地活用」といった宣伝文句にひかれ、駅から15分以上も離れたような立地にアパートを建ててしまったりします。
もちろん、一族として象徴的な土地はきちんと守るべきですが、すべての土地をそのまま維持しようというのは無理があります。相続税の評価額は高いけれど実際の価値は低いような土地、使いにくいような土地は早めに処分し、収益を生む資産に組み替えていくことを考えるべきです。
一族の将来のため大切なのは、個々の土地を守ることではなく、まとまった資産を継承していくことです。
鉄則⑥
土地を利用して収益を上げる「経営者視点」を持つべし
土地を守るのではなく資産を受け継いでいくということは、「地主一族」から「経営者一族」へ進化するということです。
土地をたくさん持っているだけの地主は今後、日本では消えていく運命にあるでしょう。土地そのものに価値があるのではなく、その土地からどのように収益を生むか、あるいは土地を収益資産にどう変えるかが問われています。
資産を所有する形態もポイントです。一般に、個人が多くの資産を所有するとさまざまなリスクが高まります。そこで、同族会社(ファミリーカンパニー)を設立し、その会社の株を持つほうが、相続対策の上でも選択肢が広がり、柔軟性が高まります。
地主や都市農家の2代目、3代目のみなさんにとって、「経営」という視点を持つことが、これからの時代には不可欠です。