今回は、「無道路地」の相続税評価と、鑑定評価基準を探ります。※本連載では、相続税対策を始めとするあらゆる資産税業務に精通したプロ集団、JPコンサルタンツ・グループによる著書、『相続の現場から見た! 特殊な土地の財産評価』(法令出版)より一部を抜粋し、相続の現場で見られる「特殊な土地」の財産評価について、不動産鑑定評価基準等を踏まえ、多くの事例を挙げて詳細に解説します。

「通路開設に要する費用相当額」を控除して評価

 

(1)相続税評価

接道義務を満たすための最小限度の通路の開設を想定し、100分の40の範囲内において、その通路開設に要する費用相当額を控除して評価します(評基通20-2)。

公道までの取付道路の取得の可否、及び費用が争点に

(2)不動産鑑定評価基準等

①基本的な考え方

公道までの取付道路の取得の可否及び費用が大きなポイントであり、その点についての考慮が出発点となります。常に通路開設できることを想定する財産評価基本通達との大きな違いといえます。

 

取付道路の取得の実現性等について、次のような観点から検討を加えます。

 

イ.通路開設の実現性

●前面土地の権利、権利の種類、権利者の数

●前面土地の利用状況、建物位置の関係

 

ロ.実現可能な通路開設の方法

●売買による所有権の取得

●地上権、通行地役権の設定

●賃借権、使用貸借による借り受け

 

ハ.通路開設の費用

前面土地の権利者にとってみれば、経済合理性に反する不動産の分割を前提とする売買等となることから、限定価格的要素が発生します。

 

ニ.通路開設に要する時間

●前面土地の権利者との交渉及び通路開設工事に要すると見込まれる時間

●前面土地の建物建て替え時期等

 

②想定上の条件

上記を検討し、「通路開設により接道義務を満たす土地としての評価」といった個別的要因について「想定上の条件」を付加して、鑑定評価を行います。

 

想定上の条件とは、上記のように現況とは異なる条件を付して鑑定評価を行うものですが、想定上の条件は実現性、合法性、関係当事者及び第三者の利害を害するおそれがないか等の観点から妥当なものでなければならないとされています(鑑定評価基準第5章第1節Ⅱ)。

 

したがって、そもそも通路開設に実現性がないと判断される場合には、宅地利用以外の利用を前提として鑑定評価が行われることとなります。

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