今回は、「相続人所有地に隣接する土地」の相続税評価と、不動産鑑定評価基準を説明します。※本連載では、相続税対策を始めとするあらゆる資産税業務に精通したプロ集団、JPコンサルタンツ・グループによる著書、『相続の現場から見た! 特殊な土地の財産評価』(法令出版)より一部を抜粋し、相続の現場で見られる「特殊な土地」の財産評価について、不動産鑑定評価基準等を踏まえ、多くの事例を挙げて詳細に解説します。
「権利を有さない土地」と一体とする評価はありえない
(1)相続税評価
被相続人が何ら権利を有していない土地(A土地)と一体として評価するという発想はありません。ただし、分割の場合について「不合理分割」という考え方があります(評基通7-2⑴(注))。
正常価格で評価するか、限定価格で評価するかが焦点に
(2)不動産鑑定評価基準等
本件は価格の種類の捉え方の違いであり、双方の主張に合理性や市場性が認められます。被相続人の所有土地を単独で評価した価格を「正常価格」、相続人A土地との併合を前提として評価した価格を「限定価格」といいます。
本件被相続人所有土地を、正常価格で評価するか、限定価格で評価するかは、相続人等の合意事項によると考えられますが、限定価格とする場合には、一体利用による増分価値を正常価格に加算して評価することとなります。
なお、「不動産鑑定評価書には、正常価格を求めることができる不動産について、依頼目的及び条件により限定価格、特定価格を求めた場合は、かっこ書きで正常価格である旨を付記してそれらの額を併記しなければならない。」とされています(鑑定評価基準第9章第2節Ⅰ)。
税理士法人JPコンサルタンツ 役員税理士
不動産鑑定士
平成10年7月、税理士登録。平成15年3月、不動産鑑定士登録。平成15年4月、税理士事務所開設。同年、有限会社アプレイザル・アルファ設立。平成17年10月、総合士業事務所の株式会社プライムを共同設立。平成18年3月、行政書士登録。平成26年4月、税理士法人JPコンサルタンツと税理士事務所の経営統合により、役員税理士に就任する。その専門性を活かし、鑑定評価及び相続税を中心とする資産税に力を注ぎ、多くの実績を有す。近年は税理士会・新聞社主催セミナー及び任意団体における研修会など、講演活動も精力的にこなす。
<主な著書>
『土地の税務評価と鑑定評価』(中央経済社/共著)、『広大地の評価税務Q&A』(中央経済社/共著)他多数。
著者プロフィール詳細
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連載相続の現場から見た! 「特殊な土地」の財産評価
税理士法人JPコンサルタンツ
代表税理士
昭和46年東京国税局総務部・東京国税局管内税務署に勤務し、主として資産税関係事務を担当。平成8年神田署勤務を最後に退職、同年小林登税理士事務所開設。平成17年税理士法人トゥモロー・ジャパン設立。平成21年JPコンサルタンツ・グループ代表取締役に就任。平成24年待山会計事務所と経営統合を図り、組織再編された税理士法人JPコンサルタンツの代表税理士に就任する。年間100件を超す相続案件を手掛ける。
<主な著書>
『広大地の評価実務Q&A』(中央経済社)、『相続税・贈与税の実務土地評価』(大蔵財務協会)他多数。
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