実勢価格、評価時期…相続時の分割が難しい「土地」という財産

本連載では、相続税対策を始めとするあらゆる資産税業務に精通したプロ集団、JPコンサルタンツ・グループによる著書、『相続の現場から見た! 特殊な土地の財産評価』(法令出版)より一部を抜粋し、相続の現場で見られる「特殊な土地」の財産評価について、不動産鑑定評価基準等を踏まえ、多くの事例を挙げて詳細に解説します。

資産としての比重が高く、「思い入れ」という要素も

土地は、相続財産の中でも価値的に重要なウエイトを占めています。さらには、被相続人や家族の思い入れ等が入り込むナーバスな資産でもあります。

 

相続税の計算に当たっては、被相続人が関わる土地について遺産分割に必要と否とに関わらず、値段を付けるという作業が必然的に生じることとなります。その結果、税理士が納税者等への説明を求められる場面も多くなっています。

 

財産評価基本通達の運用の難解さもさることながら、利害が対立する遺産分割においては、実勢価格、評価時期、小規模宅地の効果、さらには相続人の思い入れ価格等が錯綜します。財産評価基本通達、民法、不動産取引慣行が異なっているなかで、申告期限に向けて合意を形成していかざるを得ません。

「財産評価基本通達」の規定にも限界が…

不動産鑑定には、鑑定によって求める価格はその不動産が本来持っている価値を示す「あるべき価格」なのか、現場の市場を反映した「ある価格」なのかという伝統的な議論があります。相続税評価と遺産分割のための評価には、このような「あるべき価格」と「ある価格」のような関係を感じます。

 

現行の不動産鑑定評価基準では、この点について、鑑定評価によって求める価格は「ある価格」であるとの決着を見ています。同様に、利害が対立する遺産分割においては、正しく「ある価格」への指向が必要な場合があると思われます。

 

税の専門家にとっては、財産評価基本通達を適正に運用し、かつ、説明できることはもちろん、同時に財産評価基本通達にも限界があることを知ることで柔軟な対応ができると思われます。

 

本連載では、染み込んだ財産評価基本通達による評価の先入観から離れて、相続の場面における土地評価を考察してみることとします。

税理士法人JPコンサルタンツ 役員税理士
不動産鑑定士 

平成10年7月、税理士登録。平成15年3月、不動産鑑定士登録。平成15年4月、税理士事務所開設。同年、有限会社アプレイザル・アルファ設立。平成17年10月、総合士業事務所の株式会社プライムを共同設立。平成18年3月、行政書士登録。平成26年4月、税理士法人JPコンサルタンツと税理士事務所の経営統合により、役員税理士に就任する。その専門性を活かし、鑑定評価及び相続税を中心とする資産税に力を注ぎ、多くの実績を有す。近年は税理士会・新聞社主催セミナー及び任意団体における研修会など、講演活動も精力的にこなす。

<主な著書>
『土地の税務評価と鑑定評価』(中央経済社/共著)、『広大地の評価税務Q&A』(中央経済社/共著)他多数。

著者紹介

税理士法人JPコンサルタンツ 代表税理士

昭和46年東京国税局総務部・東京国税局管内税務署に勤務し、主として資産税関係事務を担当。平成8年神田署勤務を最後に退職、同年小林登税理士事務所開設。平成17年税理士法人トゥモロー・ジャパン設立。平成21年JPコンサルタンツ・グループ代表取締役に就任。平成24年待山会計事務所と経営統合を図り、組織再編された税理士法人JPコンサルタンツの代表税理士に就任する。年間100件を超す相続案件を手掛ける。

<主な著書>
『広大地の評価実務Q&A』(中央経済社)、『相続税・贈与税の実務土地評価』(大蔵財務協会)他多数。

著者紹介

連載相続の現場から見た! 「特殊な土地」の財産評価

相続の現場から見た! 特殊な土地の財産評価

相続の現場から見た! 特殊な土地の財産評価

佐藤 健一,小林 登

法令出版

大好評の不動産評価実務書最新刊! 相続の場面に資する不動産評価について、不動産鑑定評価基準等を踏まえ、財産評価基本通達の領域ではない「時価評価」にも柔軟に対応できるよう、多くの事例を挙げて詳細に解説。財産評価…

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