今回は、1つの土地に異なる価格が付く、「1物4価」「1物5価」について探ります。※本連載では、相続税対策を始めとするあらゆる資産税業務に精通したプロ集団、JPコンサルタンツ・グループによる著書、『相続の現場から見た! 特殊な土地の財産評価』(法令出版)より一部を抜粋し、相続の現場で見られる「特殊な土地」の財産評価について、不動産鑑定評価基準等を踏まえ、多くの事例を挙げて詳細に解説します。

土地は「利用目的の違い」から複数の価格が付く

1つの商品には1つの価格しか成立しない(1物1価)ということが経済の原則ですが、土地の場合は、「1物4価」又は「1物5価」ともいわれ、同じ土地についてその利用目的の違いから複数の異なる価格が付されます。

 

1.実勢価格

 

実勢価格とは、実際市場において売り手と買い手の希望が一致して成立した価格、いわゆる「時価」のことです。

 

ただし、売り手又は買い手の情報不足や思惑により売り急ぎ、買い進み等の特殊事情を含んでいることがあります。

1㎡当たりの価格を示す「地価公示価格」

2.地価公示価格

 

地価公示価格とは、国土交通省が地価公示法に基づき、一般の土地の取引価格に対して指標を与え、適正な地価の形成に寄与することを目的として、毎年1月1日時点の地価として公表する価格をいいます。

 

土地は、取引する人によっていろいろな事情や動機があることが多く、取引価格もこのような事情や動機に左右されがちですが、公示価格はそれぞれの特殊な事情等を取り除いた、自由な取引において通常成立すると考えられる1㎡当たりの価格を示しています(地公法2②)。

 

公示価格は、都市計画区域において定められた公示地点について、不動産鑑定士が現地を調査し、最新の取引事例やその土地からの収益の見通し等を分析して評価を行い、さらに地点間や地域間のバランス等を検討し、国土交通省の土地鑑定委員会が決定します(地公法2①)。

 

公示価格は、相続税路線価や固定資産税評価額を定める際の指標ともなっており、公的評価の中心的な役割を担っています。

 

[図表]公示価格

地価公示地の所在や価格等は、国土交通省のHPにて確認できます。平成27年度は、全国で約23,000地点についての価格が公表されています。
地価公示地の所在や価格等は、国土交通省のHPにて確認できます。平成27年度は、全国で約23,000地点についての価格が公表されています。

 

この話は次回に続きます。

相続の現場から見た! 特殊な土地の財産評価

相続の現場から見た! 特殊な土地の財産評価

佐藤 健一,小林 登

法令出版

大好評の不動産評価実務書最新刊! 相続の場面に資する不動産評価について、不動産鑑定評価基準等を踏まえ、財産評価基本通達の領域ではない「時価評価」にも柔軟に対応できるよう、多くの事例を挙げて詳細に解説。財産評価…

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