圧倒的に治安が良く、東京と比較しても遜色なし
ダバオ市は、フィリピンの経済圏としては3番目になりますが、市でいうとマニラ市に次ぐナンバー2の大都市です。ここまでは、投資対象としては飛び抜けて魅力的とはいえないレベルです。同市の最大のポイントは、まず圧倒的な治安の良さにあります。
[図表]マニラ、セブ、ダバオ、東京、ロサンゼルスにおける治安の評価
犯罪発生率を劇的に減少させた、現大統領の施策とは?
なぜ、ダバオはフィリピンでも屈指の治安の良さを誇るのか? そのキーマンとなるのが、1988年から2016年6月まで市長を務めたロドリゴ・ドゥテルテ、現大統領です。同氏のもとでダバオ市の犯罪発生率は劇的に減少しました。具体的な施策には次のようなものがあります。
1.喫煙の取り締まり
市内すべてに禁煙区域を設定しました。このエリアで喫煙すると1000ペソ(2016年6月現在で約2300円)の罰金を支払うか一か月の拘留となります。
2.16歳未満の夜9時以降の外出禁止
青少年の非行防止に役立っています。
3.バーやクラブなどの営業時間制限
2014年の基準ではバーやクラブの営業は午前1時まで。以前この制限を無視したお店があり、ドゥテルテ氏はその一帯のお店を約1か月間営業停止としました。
4.麻薬組織との戦争宣言
ドゥテルテ市長は、麻薬犯罪に関与する者を裁判なしですぐに射殺するよう指示を出しました。
5.タクシーのぼったくり禁止
タクシー運転手の教育を徹底し、メーターを作動させないなどでぼったくりが発生した場合は、運転手はもちろんタクシー会社も営業停止にするとしました。
タクシーに関しては、筆者(織田)自身も印象的な出来事があります。まず、マニラではメーターを作動させないことは日常的ですが、ダバオでは100%あり得ません。その上でつい最近のことですが、あるホテルまで乗ったときに3ペソのお釣りを受け取るのをうっかり忘れました。日本円にして7円くらいです。
そんなことなど気づいていなかった翌日にホテルのフロントへ行くと、いきなりホテルマンから3ペソを渡されました。私がタクシーを降りてすぐに運転手が届けに来たというのです。
ダバオの治安の良さは本物です。2008年にはフィリピン政府観光省から同国で最も住みやすい都市として認められました。前出のNUMBEOの犯罪・安全レベルでも東京と遜色ない数値となっています。