「台風上陸の心配」がほとんどないダバオ市
このような状況を背景に、ダバオ市の経済は活性化しています。フィリピン統計庁によると、2014年の地方別の総生産成長率では前年比9.4%増となり、首位となりました。
また、ダバオ市の立地もメトロ・マニラやメトロ・セブに対して大きなアドバンテージがあります。それは台風上陸の心配がほとんどないことです。
台風の多くは北緯9度付近で発生し北進します。メトロ・マニラは北緯14度、メトロ・セブは北緯10度に位置しています。一方でダバオ市が位置するのは北緯7度。
2011年にタイを襲った洪水によって日本の自動車メーカーなどが大打撃を受けたことは記憶に新しいと思います。海外に拠点を設けようとする企業は天災を極力避けようとしますから、その点からもダバオ市が注目されることは間違いないでしょう。
とはいえ、ダバオ市はマニラから遠いことなどが要因で、つい最近まで大手や外資系の資本流入が本格的になっていませんでした。しかし、これだけの規模と治安の良さ、そして立地条件を持った都市が発展しないはずはありません。実際に資本流入は毎年20%近い増加傾向です。
2022年までに予定されている様々な都市開発
現在のダバオシティーの都市計画は2013年に計画され、2015年1月1日より「Davao City Comprehensive Land Use Plan(CLUP)2013-2022」が実行に移されました。同計画では、2022年までに様々な都市開発が予定されています。
例えば、沿岸部の開発プロジェクトには以下のようなものがあります。
●ガバメント・センター(フィリピン政府、ダバオ市、または出張所)
●大学、専門のビジネス・スクール(職業および工業学校)
●総合病院、医療センター、多目的クリニック
●コンベンション・センターと関連した施設
●宗教施設(例えば教会、神学校、修道院、モスク)
●博物館、市民図書館
●大使館、領事館
●市民センター
●五つ星ホテル
●コンドミニアム
ダバオ市の開発には、日本もODAを行っており、例としては、ダバオ市バイパス建設計画があります。供与限度額は約2500億円、金利は0.1%です。償還期間は40年(うち据え置き期間10年)で、ダバオ市南端部と同市中心部を結ぶバイパス道路の建設および既存道路の舗装改良を実施しています。
この協力を通じて、同市を核とするミンダナオ島最大級の経済圏内の物流改善とダバオ市内の交通渋滞の改善を図り、投資促進を通じた持続的経済成長とミンダナオにおける平和と開発に寄与することが期待されています。
そのほかにも鉄道、バスターミナル、新空港など、人や物の流れに関わる計画が多くあり、同計画のすべてが実行されればダバオ市は2022年にはまったく別の街へと様変わりする可能性を秘めています。
[図表]ダバオシティー沿岸部の埋め立て開発プロジェクトイメージ