「1回も負けない」という個人投資家はいない
売買を繰り返していけば、必ずこうなると断言できることがあります。それは、図のように勝ち負けや損益の度合いが分布していくことです。
[図]
それぞれの投資家や相場環境によって細かな配置には違いが出てくるでしょうが、上(プラス)と下(マイナス)の両方に点が散らばっていることは共通してくるはずです。
もちろん、目立って相場が上昇している局面ではおのずと勝てる機会が増えるでしょうし、値幅も大きくなってきます。逆に、下落基調が鮮明になっている局面では負けがかさみがちになり、時に手痛い損失を被るケースも出てくることでしょう。
とはいえ、私が長く個人投資家として取引を続けてきてつくづく思うのは、それなりに長い期間を振り返ると、「1回も勝てない」という状況がない一方で、「1回も負けない」という状況もないということです。
たとえば、日経平均株価がどれほど力強い上昇を示していたとしても、自分が買った5〜6銘柄のすべてが同等に儲かっているというケースはまず起こりません。仮にすべてが値上がりしていたとしても、必ず銘柄ごとに差が出てくるものです。
もちろん、最初からそのように凸凹な結果を求めて買っているわけではなく、いずれも自分自身が「これはイケるはずだ!」と(自分の中で)確信を抱きながら手を出したものです。
相対的に儲けのほうが多くなれば「よし」と考える
しかしながら、実際には見込み違いの銘柄が出てくるもので、その宿命からはどれだけのベテランであっても逃れられないだろうと私は思います。
もしも、ハズレを引く直前にピピッと第六感が反応して、首尾よくアタリだけを選び当てる猛者(もさ)がいたとしたら、ぜひともお目にかかってその人の爪のアカを煎じて飲んでみたいです。
現実には、そこまで完璧に的中させられる人はいません。「勝ったり負けたり」の連続であり、それが当然の現象なのです。
ここで重要なのは、「必ず負けることがある」という事実です。これは真理にも近いものです。
「勝ったり負けたり」の繰り返しの中で、相対的に儲けのほうが多くなればそれでよしというのが株式投資なのです。