今回は、事件や家賃滞納をはじめとする、賃貸物件の「入居者に関するリスク」を回避する方法を見ていきます。※本連載では、不動産投資のプラットフォーム開発を主な事業とするプレミアムバリューバンクの取締役社長・北野孝氏の著書、『究極の不動産投資成功の教科書』(経済界)の中から一部を抜粋し、不動産投資の成功に不可欠な「リスク戦略」をご紹介します。

経営問題にも関係する「入居者リスク」

前回の続きです。

 

購入後のリスクとして、まず対処しなければいけないのは入居者に関わるリスクです。入居者を審査するなど、事前に対策を講ずることで、トラブルや家賃滞納などの問題を予防します。

 

入居者に関するリスクでは、物件内で事件を起こしたり、家賃を滞納したりといったケースがよく発生します。事件と言っても、ペットを飼う、楽器を鳴らす、といったたぐいから、刑事事件などの発生までさまざまあります。孤独死や自殺など、人が死ぬような大きな事件はともかく、日常的に発生するのは騒音やゴミ、ペットの問題、入居者同士のトラブル(喧嘩)などです。

 

そうしたリスクが発生することで、なかなか入居者が決まらず、空室が埋まらなかったり、あるいは入居していても、すぐに退去してしまったりといった事態が発生します。入居者リスクは、経営問題にも関係するのです。

 

このリスクへの対処としては、入居者の審査を厳しくすることです。誰でもいいから早く入居を決めたいというのではなく、トラブルを生むような人物を入居させることは、できるだけ避けるように、管理会社とよく相談しておかなくてはなりません。一般的に入居者審査のポイントとしては、次のようなものがあります。

 

①年収

②職業

③連帯保証人(続柄)

 

 

①年収

支払い能力をチェックするためにも年収は重要な審査ポイントになります。標準的には「家賃=年収の3分の1」とも言われていますので、年間家賃の3倍以上の年収があるかどうかを目安にします。なかには、滞納リスクへの予防を重視しようと、より厳しめに、4倍以上の年収があるかないかを基準にする投資家もいます。

 

②職業

入居者が安定した収入があるかどうかは投資家にとって気になる情報でしょう。定期収入がある人なのか、より具体的には正社員か、派遣や契約社員であるか、フリーターであるかを確認して、入居者としてふさわしいかどうかを判断します。

 

③連帯保証人(続柄)

一般的には親を中心に、親族が連帯保証人になるケースが多いでしょう。勤務先の関係者が連帯保証人になる場合もあります。滞納リスクを考えれば、連帯保証人は本人と同等以上の収入があることが望ましいでしょう。

 

 

ただし、最近は連帯保証人に代わって、家賃保証会社への加入を求める場合も増えています。

管理会社のトラブル対応姿勢も必ずチェック

入居者審査を含めて、一連の管理業務は、不動産管理会社に委託するケースがほとんどです。トラブルへの対処法も含め、しっかりとした対応をしてくれる不動産管理会社を選ぶことも重要です。

 

もう1つの対処としては、入居者による騒音やゴミ、落書きなどで、事が小さなうちに、素早く解決しておくことです。これは「割れ窓理論」と呼ばれるもので、例えば1つの落書きを放置することで、別の迷惑行為を誘発し、さらにはもっと大きな迷惑を生むような環境を作り出してしまう結果になるのです。

 

アパート経営やマンション経営では、普段から特に共用部をきめ細かく観察します。そうして、ゴミが落ちている、放置自転車がある、禁止のペットがいるようだ、楽器を鳴らす人がいる、といった小さな「異変」に気づいたらできるだけ早く対策の手を打ち、迷惑行為を芽のうちに摘んでしまうことが重要です。

 

不動産管理会社には、そうした早期対応を積極的にしてくれるかどうか、契約前に確認することも重要です。

究極の不動産投資成功の教科書

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