不動産投資をするのに適したエリアであるか?
投資目的を明確にし、「物件を見る目」が養われれば、明確な基準を持って、物件を判断することができるようになります。まずチェックすべきは、エリアです。不動産投資をするのに適した地域かどうかを適切に判断することが求められます。
それぞれのエリアには長所もあれば短所もあります。意外に思われるかもしれませんが、あまり長所を高く評価しすぎるのも考えものです。状況が変われば、長所は逆に欠点に転じてしまう場合も少なくありません。
例えば「企業城下町だから安心だ」「大学のキャンパスがあるから学生が入居してくれる」といった思い込みはその典型です。
確かに現状ではそうかもしれませんが、その前提が崩れたらどうでしょう。賃貸需要は一気に下がります。実際、工場の閉鎖・海外流出、大学キャンパスの都心回帰といった、思わぬ事態を機に、入居者が激減してしまった地域も少なくないのです。
まずは、地域の不動産会社などを回って、情報収集することが必要です。同時に次のような観点をもとにエリア調査を行うことも重要です。
・スーパーマーケットやクリーニング店など、生活に便利な店舗は充実しているか
・客付けしてくれる不動産会社は多いか
・生活するうえでマイナス要素(騒音、異臭、危険ゾーンなど)はないか
建物の傾斜、雨漏りの可能性などは入念にチェックを
2015年、横浜市都筑区のマンションで杭打ちデータの偽装に伴う、建物の傾斜問題が発覚しました。マンション自体の建て替えも検討されているようですが、このように不動産投資には建物自体のリスクもあります。
もちろん、こうした問題は、大規模マンションに限った話ではありません。いくら立地が良くても、物件自体に何らかの問題があれば、建て替えは極端にしても、修繕などをする必要が出てきます。余計な出費を回避するためにも、購入前の入念なチェックが欠かせません。
建物の傾斜も、日々の暮らしに問題がない程度であればいいのですが、傾いているのが実感として分かるレベルであれば、購入は回避しましょう。物件調査の際には、物体の地面に対する角度や傾斜を図る「水準器」などで確認することをお勧めします。
物件調査では、雨漏りの危険性がないかという点も重要です。雨漏りが原因で、柱が腐食してしまっていることもあるからです。こうした物件は構造体の劣化が進み、建物自体の寿命にも影響してきます。雨漏りは致命的な影響を物件にもたらす可能性があることを強調しておきたいと思います。
屋上にのぼり、床の状態をきちんとチェックするなどして、過去に屋上から雨漏りをした形跡がないかを確認する必要があります。自分で確認できない場合には、専門家に診断してもらうのも手でしょう。
ほかにも、外壁のひび割れのチェックも欠かせません。構造体に影響しているような場合もありますし、なかにはそうしたひびから雨水が入り込んでしまっている物件もあります。
また、築年数の古い物件の中には、水回りで問題が潜んでいるリスクがあります。配管が傷んでいる場合です。もしここでトラブルが顕在化すると、後の工事費がかさみます。