今回は、災害リスクに備えるための各種保険について解説します。※本連載では、不動産投資のプラットフォーム開発を主な事業とするプレミアムバリューバンクの取締役社長・北野孝氏の著書、『究極の不動産投資成功の教科書』(経済界)の中から一部を抜粋し、不動産投資の成功に不可欠な「リスク戦略」をご紹介します。

「地震保険・住宅火災保険・住宅総合保険」で備える

前回の続きです。

 

ただし、危険度はある程度分かったとしても、自然災害はいつ、どこで発生するか、正確に分からないのも事実です。実のところ、阪神・淡路大震災が発生した関西地方、東日本大震災が起こった東北の太平洋沿岸地方の災害危険度はそれほど高くなかったという指摘もあります。

 

では、こうした災害リスクに対しては、どのように対応すべきでしょうか。基本的には以下の各種保険によって備えます。

 

①地震保険

②住宅火災保険

③住宅総合保険

 

①地震保険

東日本大震災を契機にして、いざというときの備えとして、地震保険に関心を払う投資家は増えてきました。まず押さえておきたいのは、地震保険は単独では加入することができないということです。火災保険の特約として加入することで、地震・噴火・津波による建物の損害がカバーされます。

 

すべての損保会社が地震保険を取り扱っているわけではないものの、保険内容や保険料金は各社とも同じです。というのも、地震保険は国の法律に基づき、政府と保険会社が共同して運営する仕組みだからで、一度の地震につき6兆2000億円の保険金の支払いが保証されています。

 

ちなみに保険料金は、地域(地震の危険度に応じて都道府県ごとに設定)と建物(RC造か木造かなど)によって変わります。地震保険の保険金額は、火災保険の建物評価額の30~50%とされています。被害が「全損」と認められれば保険金額の100%、「半損」であれば50%、「一部損」であれば5%が払われます。これは液状化被害でも同様です。

 

ちなみに、地震保険の種類は「建物」と「家財」で両方に加入する場合には、火災保険の「建物」「家財」の双方に付帯する必要があります。また、地震保険期間は最長で5年と定められています。

 

②住宅火災保険

住宅火災保険とは、火災や落雷、爆発、風災、雪災などによって建物や家財に損害が出た場合に補償される保険です。貸家の場合は、建物は投資家が、家財は入居者が契約します。また、管理組合がある場合は、共用部分や建物自体は管理組合が契約するケースが増えています。保険料は所在地や建物の構造、補償内容などによって変わってきます。

 

保険期間が長期であるほど、掛け金は割安になりますが、2015年10月より保険期間の最長は従来の36年から10年に改められました。

 

③住宅総合保険

住宅火災保険の補償内容に加えて、建物外部からの落下や衝突、水濡れ、騒じょう、労働争議、盗難、水災によって生じた損害を補償するのが住宅総合保険です。海や河川に近いエリアに物件を購入する場合などには、住宅総合保険への加入も視野に入れておきましょう。

「保険金がおりる条件」をしっかり確認しておく

地震保険は保険料も高いのでためらうところですが、いざというときには、保険金によってローン返済だけでもできる状況を用意しておきたいものです。ただ、保険は保険金がおりる条件など、契約内容を十分に確かめて入る必要があります。これは、火災保険など、通常のリスクに対応して保険に入る場合も同じです。

 

地震や津波、噴火、台風といった災害リスクを回避するためには、東北、首都圏、関西圏、九州といった、全国の分散投資も視野に入れる必要があります。また、前述したように大きな地震を引き起こす危険性のある活断層、あるいは過去に洪水の被害の大きかったエリアなどを、あらかじめ調べて投資する必要もあります。

究極の不動産投資成功の教科書

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