中国の携帯端末メーカー「小米」に学ぶ経済圏の作り方

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中国の携帯端末メーカー「小米」に学ぶ経済圏の作り方

今回は、「経済圏」の作り方を、中国の携帯端末メーカー「小米」を例に見ていきます。※本連載では、佐藤航陽氏の著書『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』から一部を抜粋し、「お金や経済とは何なのか?」、その正体を探っていきます。

ネット販売に特化、製造数を絞ってプレミアム感を演出

フェイスブックとは違って、ものを扱うメーカーでこの経済システムの考え方を取り入れて大成功した企業があります。

 

「小米」という中国の携帯端末メーカーです。小米はITの世界では非常に有名な企業で、中国のIT業界のカリスマの雷軍CEOによって2010年に設立されました。

 

雷軍CEOは、中国の大手ソフトウェアメーカーであったキングソフトのCEOを務めた人物で、小米は携帯端末を作る企業でありながらCEOはソフトウェアやECに精通した特殊な会社です。

 

小米はAndroidベースでスマートフォンを作っており、アップルの思想に影響を受けた雷軍CEOは徹底的に細部にこだわったクオリティの高いスマホを作っています。ここまでなら普通の職人気質のメーカーに過ぎませんが、特殊なのはそのマーケティングとコミュニティ形成の戦略です。

 

小米は初期は店舗での販売を一切せずに、ネットでの販売のみに特化しました。さらに、製造数を敢えて絞ることで端末そのものの希少性を高めて、なかなか手に入らない状況を作りました。これにより「小米の端末を持っている=羨ましい」というプレミアム感を出すことに成功しました

 

また、雷軍CEOは強烈なビジョンを持つカリスマ的存在であり、彼のビジョンと高品質な製品に魅せられたたくさんのファンを作っていました。このファンたちがなかなか手に入らない小米のスマホをソーシャルメディアで拡散させていき、マーケティングコストをかけずに多くの人に認知させることに成功しました

ファンが支える「小米経済圏の形成」がビジネスモデル

細部にこだわった高品質な製品、なかなか手に入らない希少性、強烈なビジョンに支えられたファン層の形成、ソーシャルメディアでの口コミなどが重なって、小米のスマホを使っていることはクールであるという「ブランド」としての価値が生まれます。

 

小米はスマートフォンを販売して売上を立てていますが、実際は商品以上の価値を生み出し、熱量の高いファンによって支えられた「小米経済圏」の形成がビジネスモデルとも言えます

 

こうした企業・製品・ファン・消費者によって形成されるビジネスは、通常よりもマーケティングコストが低く、かつコミュニティによって守られているため競争環境にも強いです。

 

こうした戦略はWebサービスに限らず、メーカーや店舗やサービス業などあらゆる業態で応用可能です。自分が今取り組んでいることに対しても、どのような形で取り入れられるかをぜひ考えてみてください。

お金2.0 新しい経済のルールと生き方

お金2.0 新しい経済のルールと生き方

佐藤 航陽

幻冬舎

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