中小企業の信用補完制度のあり方が問題視されている!?
中小企業の8割ぐらいが利用しているであろう信用保証協会。信用保証協会とは、ご存知の通り、基本的に各都道府県に設置されていて、大手に比べて信用力のない中小企業は、保証協会に保証料を払うことによって、銀行から融資を受けることができます。
借り手である中小企業が、業績悪化で借金の返済が不能になると、銀行は保証協会から代わりに残債の全額を受け取ります(これを代位弁済という。2007年からは銀行2割負担、これを責任共有制度という)。
保証協会は、代位弁済すると、日本政策金融公庫からだいたい8割ぐらいが保険で補塡されるしくみになっています。日本政策金融公庫の株主は「国」ですから、結局倒産した企業の債務は、国家予算から損失補塡として日本政策金融公庫に出資されるというわけです。
このスキームを信用補完制度といいますが、代位弁済率の上昇と国家予算の問題から、近年では信用補完制度そのもののあり方が問題視されるようになりました。そのため、地方銀行や信用金庫などは、目利き力の強化とコンサルティング機能の発揮によって、保証協会に頼らない融資が大きなテーマになっています。
このあたりの金融諸事情について、社長はしっかり理解した上で、今後の銀行対応を行っていく必要があるでしょう。
[図表]信用補完制度の仕組み
融資を引き出すための最大の武器となる「事業計画」
これからの銀行にとって、目利き力の強化やコンサルティング機能の発揮が最大のテーマですが、保険も投資信託も売らなければならない、預金も集めなければならない、残業はできない・・・というのでは、ただでさえ忙しい銀行員に、そんなスキルが身に付くはずはありません。
それなら、融資を引き出すのにもっとも手っ取り早い方法は、銀行員の目利き力が必要のないレベルの説明資料を提示すればいいことになります。
来期以降の売り上げは、毎期いくらを予定しています。その金額の根拠は、この商品でいくら、あの商品でいくら、このサービスでいくら、得意先別の金額はそれぞれいくら、そのためのアクションプランは以下の通り。原価はいくら、人件費はいくら、その他費用はいくら、利益の今後5年間の計画はいくら、5年間のキャッシュフローはいくら、既存の借り入れと、今回申し込みの借り入れの返済計画は以下の通り――。これが事業計画です。
銀行というところは、貸すことが問題なのではなく、返してもらえるかが問題なのです。融資担当者のレベルでは、上司や本部に対して、「この会社に貸しても大丈夫」という理由づけがほしいのです。
銀行の目利き力がいらない事業計画が、今後の融資を引き出すための最大の武器になることは間違いないでしょう。