前回は、売却時の利益を最大化させる「収益物件」の管理方法について解説しました。今回は、物件売却を不動産会社へ依頼する際に検討すべき「専任媒介」と「一般媒介」の違いについて見ていきます。

一社に絞った専任媒介、複数社に依頼する一般媒介

Q:専任媒介と一般媒介、どちらで売るほうがよい?

 

収益物件を売却する際の不動産会社への依頼方法は、専任媒介と一般媒介、どちらのほうがよいのでしょうか? 専任だと一所懸命売ってくれそうな気がしますし、一般だと複数の業者にお願いできるので、早く売れそうな気がします。一長一短あるように思えて迷っています。

 

 

A:ケースバイケースだが基本は専任

 

専任媒介契約と一般媒介契約の違いを簡単に説明します。専任媒介契約とは、売却を依頼するにあたりその一社のみにしか依頼しないという取引です。ちなみに専任媒介契約は二つに分かれ、専任媒介契約と専属専任媒介契約があります。専任媒介契約は自分で買主を見つけた場合は媒介契約を結んだ仲介を通さずに取引ができますが、専属専任媒介の場合はたとえ自分で取引相手を見つけても必ずその会社を仲介に入れなければいけないという違いがあります。

 

逆に一般媒介契約は複数社に売却を依頼する方式です。ここが大きな違いです。

物件情報の周知には「専任」も「一般」も違いはない

それぞれに一長一短あります。専任媒介契約は一社独占のため、不動産会社は売却の依頼を受けたら必ずレインズに登録し広く周知しなければいけないという取り決めが宅建業法にあります。情報の囲い込みを禁止しているのです。逆に一般媒介契約はそもそも売主が幅広く仲介会社に依頼をかけているという前提に立っていますので不動産会社がレインズに登録する義務はありません。

 

また、専任媒介契約は売主に対して売却の進捗状況に関して、報告の義務を負いますが、一般媒介の場合は報告の義務を負いません。これも権限と責任のバランスでこのように取り決められています。

 

 

以上から分かる通り、情報がどちらが幅広く行き渡るかという点については違いはありません。専任媒介契約でもレインズを通して幅広く情報は行き渡ります。

 

違いは任せる相手が一社か複数かということです。そのため専任で任せる場合はその会社がよければよいし、悪ければ最悪の結果になります。

本連載は、2016年7月29日刊行の書籍『利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

本連載は情報の提供及び学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資・経営(管理運営)の成功を保証するものではなく、本連載を参考にしたアパート事業は必ずご自身の責任と判断によって行ってください。本連載の内容に基づいて経営した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。なお、本連載に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後、変更されることがあります。

利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50

利益と節税効果を最大化するための収益物件活用Q&A50

大谷 義武

幻冬舎メディアコンサルティング

【物件選びから融資、管理、税務、売却まで「知らなかった」ノウハウが満載! 500棟6000戸を管理し入居率98%を実現してきた不動産のプロがワンランク上の知識とテクニックを全公開】 不動産投資のノウハウに関する情報は書籍…

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