築22年以上の「木造物件」は本当に価値がないのか?
国内の一般中古住宅に対する評価は、諸外国と比較し不当に著しく低いと感じています。たとえば、築20年の木造一戸建て建物評価は中古流通市場ではゼロになり、ほぼ土地値の価格で取引されます。
これは日本人特有の新築絶対主義が大きく影響していると思いますが、もう1点、日本の税制の影響もあると考えています。木造建物の法定耐用年数は22年です。つまり法律上、「木造建物は22年で価値がゼロになりますよ」と言っているに等しいのです。
欧米諸国では中古物件の建物にも価値を見出し、正当に評価・取引されています。日本における中古物件の本来の価値と市場価値の差に、違和感を覚えるのは私だけでしょうか。
実は、この違和感は不動産投資の〝うまみ〟を見つける際の大きなポイントでもあります。日本の中古不動産マーケットには矛盾やゆがみがあり、それを上手に利用することで良い投資ができるのです。収益不動産は二通りの評価方法で価格が決まります。
収益価格:家賃収入÷還元利回り
積算価格:土地・建物を現在価値で評価した価格
ここでの積算価格は金融機関の担保評価ではなく、実勢実売価格を意味します。この二つのうち、高いほうの金額が採用され、市場に売りに出されるのが一般的ですが、本来は積算価格が採用されるべき物件が、まれに収益還元価格評価の金額で売りに出されることがあります。その多くは、築20年以上経過した木造物件です。
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土地値に着目し、実売ベースでいくらかをチェックする
実際に取引した事例を見てみます。
(物件概要)
データ:大阪府北摂エリア 駅徒歩5分以内 平成元年築 S造 2DK×4戸年間
家賃収入:300万円
売買金額:3000万円(表面利回り10%)
(土地概要)
土地160平米(約48.4坪)
相続税評価額:2560万円(相続税路線価:16万円/平米)
実売土地評価:4000万円(実売平米単価:25万円/平米)
このように、利回り10%の収益物件として売りに出されていました。一見すると普通の物件ですが、結果的に公開後2週間と、早期に売れてしまいました。この物件は、なぜそれほど人気があったのでしょうか。答えは、土地値にあります。
相続税路線価ベースでは売買金額以下ですが、実売ベースでは売買金額以上となります。実売土地評価は4000万円であるにもかかわらず、物件の売却金額は3000万円という好条件で売りに出されていたわけです。
この物件の投資スタンスとしては、5〜10年保有ののち解体し、土地として売却となります。土地を実売評価よりも安く買った上にアパートまで付いてきたような掘り出し物件です。このケースでお伝えしたいのは次の2点です。
●土地値に着目し、収益還元評価で売りに出されている割安の物件を狙うこと
●土地値は相続税路線価ベースではなく、実売ベースでみること
お客様と話をしていると、相続税路線価は実売価格の80%が絶対だと信じている方が多くいらっしゃるように感じます。不動産投資関連の書籍でよく書かれているように、銀行担保評価の考えが一般的になったからだと思われます。
ところが今回のケースのように、相続税路線価では割安でも、実売ではかなりの高値で取引されていることが多くあります。投資判断をする際は土地値に着目し、実売ベースでいくらなのかをぜひチェックしてみてください。
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