築古物件を土地値で評価する際は「更地コスト」に注意
前回、土地値に着目すると、最終的に利益の出る物件が買えるとお伝えしました。今回は、その補足をしたいと思います。土地の本当の評価方法についてです。
次のような物件が売りに出されています。
地方都市 RC造 築25年前後
ファミリー 駐車場全戸分附置
積算評価>販売価格
利回りは相場並み
販売価格は1億円以上
積算評価が売買金額以上出ているため、銀行からの融資は受けやすくなります。このため、首都圏や関西圏にお住まいの属性の良い方が銀行で資金調達し、こぞって買いそうな物件です。しかし私は絶対に買いませんし、お客様にもおすすめしません。理由はいろいろありますが、土地値という観点で説明しましょう。
まずは物件の土地実売価格を確認することが大切です。ただし、注意しなければならないのは、〝更地実売土地値〟かどうか、です。建付地(物件が建っている土地)の場合、更地にするコストを減算して想定しなければならないということです。
前記のような地方RC造物件で、まれに相続税路線価÷0.8(公示地価相当)に近い金額で売りに出されている築古物件(築年数の経った中古物件)があります。ポータルサイト上でのセールス文をみると、「土地値物件!」などと書かれています。
しかし、それは本当に土地値かどうか、よく見極めなければなりません。建物を解体して取り除かなければ土地として使えないという、当たり前の事実を考慮する必要があります。
アパート・マンションなどの共同住宅を更地にする際にかかるコストは、解体費用や入居者立ち退き費用などです。RC造の解体コストは地域にもよりますが、坪5万円以上でしょう。対して木造物件の解体コストは坪2.5万〜3万円と半分程度です。
入居者立ち退き費用は、おおむね一戸当たり最大家賃の6ヶ月分程度でしょうか。RC造と木造で立ち退き費用が変わらないとすると、RC造は木造などと比べて更地にするコストが2倍かかるということです。さらに地方RC造物件の場合、そもそも価格に対する建物の割合も高い傾向にあります。
結果として、仮に地方RC造物件の土地の担保評価が出ていても、実際に更地として使うには多額のコストがかかり、更地にして売却後にはお金がほとんど残っていない、という事態が起こり得るのです。
このように、築古物件を土地値で評価する際は、更地コストを控除した金額が本当の意味での土地実売評価となります。
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融資が付きやすい、という理由だけで購入すると・・・
地方RC造物件をおすすめしない理由はほかにもあります。まず入居付けの問題です。地方でも需給バランスがよく、入居付けが問題なくできる地域もありますが、やはり都市部と比べると賃貸需要が少なく、入居付けに苦労する可能性があります。
さらに地方RC造物件は床面積が広くなる傾向にあり、床面積に対する賃料が割安になります。床面積が広いということは、その分、固定資産税がはね上がることにもなりますので、その結果、キャッシュフローが出にくくなりやすいのです。
加えて、RC造物件は築年数が経過すると配管修理や外壁塗装工事など、多額の修繕コストがのしかかります。地方RC造物件は大規模物件も多く、そうなるとさらにコストがかかってしまう。このようにさまざまな要因が重なって、地方RC造物件の投資効率を高めるのは難しいのが実情なのです。融資が付きやすいという理由だけで購入してはいけない、ということです。
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