前回は、痛みが原因のストレスが心身に及ぼす悪影響について解説しました。今回は、「肩の痛み」を感じたら、速やかに医療機関を受診すべき理由を見ていきます。

五十肩の放置が、体の他の部位の負担に繋がる

皆さんが思っている以上に、痛みが心身に与える影響は大きいものですが、何と言っても痛みを長引かせると症状を悪化させることが重大な問題です。

 

当院を受診される患者さんの診療をしていて、「もっと早く来てくれていれば……」と思うことが少なくありません。治療に入る時期が遅くなればなるほど、治療に要する期間も長くなり、患者さんの苦痛も続くということです。

 

四十肩・五十肩は痛みが治まっても、肩の可動域の制限がずっと残ることがあります。そこでリハビリを開始したとしても、回復するまでに1年以上、場合によってはそれ以上の年数を四十肩・五十肩に悩まされるかもしれません。

 

仮に、五十肩を放置したまま生活していくとなれば、無意識に痛みが出ないラクな姿勢で体を動かすようになります。痛みを感じる動きは避けるわけですから当然、その代償として、体の他の部位に負担がかかってくることになります。

 

本来、肩の筋肉が負担していたことが、ときには腰にかかるということにもなるわけです。すると、それらの負担に耐えられず、今度は腰を傷めるということも想定されます。肩、腰とバランスを欠いた体は、今度は膝を傷めるといった、どんどん負のスパイラルに陥ります。ですから、五十肩を自覚したら、専門医の診断のうえ、適切な治療を行うことが必要なのです。

受診を怠ると、治療に1年以上の時間を費やすことも・・・

さらには、四十肩・五十肩と思っていたのが腱板断裂だったときには、そうとは知らずに日常生活で肩を酷使し続けていれば、最初は小さな断裂部が少しずつ広がり、手術をしなければならない事態を招くことがあるのです。

 

腱板断裂の手術がどれほど患者さんに負担をかけ、日常生活に支障をきたすかはすでに説明した通りです。元の状態に回復するまでには術後のリハビリや運動療法が不可欠です。そうなれば、通院に時間がとられ、単に日常生活動作が制限されるだけではなく、生活の質も低下します。

 

どの時期で医療機関を受診するかによって、その後の患者さんの生活が大きく変わるということです。受診するのが面倒臭い、忙しくてそんな時間はないと先送りにした結果、症状を悪化させてもっと時間をとられて仕事を休むことにもなりかねません。受診する数時間をつくらなかったことが、最終的には治療に1年以上の時間を費やすこととなるのです。

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