地方に行くほど重要性が低くなる「駅からの距離」
前回の続きです。
しかし、地方物件なら何でもよいというわけではありません。地方物件には地方物件ならではの選び方というものがあります。このあたりは東京生まれ東京育ちだと、肌感覚では理解しにくいところかもしれません。
例えば駅近物件、それこそ駅徒歩10分以内の物件があれば「これはいい物件だ」と思う人が多いでしょう。その基準は間違いではありません。
ただし、この考え方が通用するのは大都市とその周辺までです。地方に行けば行くほど、駅からの距離というのはさほど重要ではなくなります。
地方での足は、鉄道ではなくて車が主役だからです。
したがって、駅から遠くても幹線道路に近い物件であれば、確かな賃貸需要があるのです。車社会に必要な銀行、スーパー、薬局、ホームセンターといった施設がそろっているエリアならば、駅からの距離とはまったく関係なく賃貸経営が成り立ちます。
それにプラスして、役所、工場や商業施設といった働く職場が近隣にあればそれだけ賃貸ニーズが強いことを意味します。
ファミリー物件における学区の重要性は、都心部と同じ
このように東京圏で生活しているとついつい駅近を重視しますが、地方物件を狙うにあたっては主要な判断基準とはいえません。地方での生活の利便性は、国道や県道といった幹線道路へのアクセスのしやすさに大きく左右されます。駅からの距離はそこまで重要ではありません。
実際に現地へ行ってみると、駅前は寂れたシャッター街で旧市街地なので道幅も細く、車を停める場所もない。一方で、幹線道路沿いはショッピングモールや大手チェーンが出店し、週末は渋滞になるようなにぎわいを見せている。
こういった光景が日本のいたるところにあるのです。こういったスポットが生活圏に存在する、にぎわいの恩恵を受けられるような物件を探すのが地方一棟もの投資の成功のカギです。地方在住の人や、地方出身の人であれば、このあたりの感覚がピンと来る人も多く、投資でも多少有利といえます。
逆に東京出身で、こういった話に実感を持てない人は、まずは車社会の生活感覚を理解したほうがよいでしょう。
感覚を養えば、たとえ駅から車で30分かかるような場所であっても賃貸経営に適しているエリアだと判断がつくようになります。その土地で生活する人の視点を獲得することが地方物件選びでは大切です。
また、この点は首都圏も共通になりますが、ファミリー物件では学区が重要視されます。近隣に評判の良い小学校や中学校があれば、「良い学校の近くに住みたい」というニーズがあるので、これも立地選びのポイントになります。