前回は、難あり物件を運用する不動産投資戦略について解説しました。今回は、投資用不動産の購入を決断できる人・できない人の違いを見ていきます。

購入のタイミングに慎重になり過ぎる投資家の例

最後にマインド面にも少し触れたいと思います。というのも、「一棟マンション投資を始めたい!」と決意して、物件選びのチェックポイントなどを理解しても、どうしても物件購入に踏み切れない人もいます。属性も申し分なくて、問題のない物件を見つけたのに、初めの一歩が踏み出せないのです。

 

私の知るケースでは、購入のタイミングに慎重になり過ぎている投資家がいました。いくら良い物件があっても「今は物件が高いから」と言うのです。

 

物件の価格はある程度相場で決まるものなので、個人や業者の努力ではどうにもならない部分です。

 

その一方で、自分が融資を受けやすいという武器を忘れてしまっています。

 

では、こういった人が下落局面で本当に買えるのかというと、今度は「まだ下がるかもしれないから買えない」「前より金利が高くなってしまったので買えない」と、また別の理由を持ち出して結局買えなかったりするのです。

 

そのほか、非常に勉強熱心なのにもかかわらず、なかなか物件が買えないという人がいます。情報過多のせいで自分の物差しが持てなくなっているのと、理想の物件を追い求めすぎて、自分の努力で理想の物件を作る意識が希薄なのかなと感じます。

 

物件購入には、決断と行動が不可欠です。「あの本にはこう書いてあったから」と盲信してしまうと、目の前に出てきた物件を買うことができません。

 

どうかノウハウコレクターの罠に陥らないようにしてください。

決断した人と見送った人、手元にお金が残るのは・・・

こうして本を書いている私が言うのもおかしな話ですが、本というのは安価で体系的に知識を習得するのに最適な媒体です。

 

反面、世の中に出てくるまでにどうしてもタイムラグがあります。

 

本の場合は、著者と読者の資産や属性が異なりますし、本が書かれた時点での経済・社会の状況から大きく変わってしまうこともあります。こうした変化を加味して投資判断基準の調整を行うのが投資家の仕事だと思いますが、なかには化石のようなノウハウをいまだに信じて、収集している残念な人も、少数ながら存在するのです。

 

執筆してから出版までの間に大きな変化が起こって内容が陳腐化する可能性は、ゼロではありません。

 

投資家は常に時代に適合した投資手法を選び続けないと物件を買い続けることはできず、拡大もできません。そして最新の情報には、本ではなくて、実は現場で最前線に立っている営業担当者が精通していたりするのです。

 

繰り返しになりますが、100点満点の物件は市場に存在しません。しかし、市場で平均点くらいの物件を買って、きちんと運営すれば毎月のキャッシュフローは手に入ります。

 

平均点くらいの投資家でも、確実にお金持ちになれる。これが不動産投資の素晴らしいところです。

 

買えない理由を見つけて投資を見送った人と、そのときの市場の平均的な物件を買ってきちんと運用してきた人とでは3年、5年と経ったとき、手元にあるお金に大きな差が生まれています。毎月のキャッシュフローに手を付けず貯めた人と、かたや、セミナーに通い続けて知識を得ているのにもかかわらず1円も生み出せていない人の差です。

 

今、1億円で売りに出ている物件が、一年後にディスカウントされて9000万円で売り出されるかというと、そんなことはありません。

 

だったら少しでも早く物件を購入し、残りの人生のうちオーナーとしてプラスのキャッシュフローを受け取る期間を少しでも延ばしたほうが有利なのです。

本連載は、2017年8月刊行の書籍『区分物件オーナーのための 神速!億万長者計画』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

区分物件オーナーのための 神速!億万長者計画

区分物件オーナーのための 神速!億万長者計画

田中 竜太,太田 将司

幻冬舎メディアコンサルティング

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