地方物件は、世帯数分の駐車場があるのが望ましいが・・・
地方物件の場合、どちらの物件でも、世帯数分の駐車場があることが望ましいです。特にファミリー向け物件であれば1世帯あたり1台分の駐車場は必須、それどころか1世帯あたり2台分の駐車場を用意できたほうがよいくらいです。
前回、地方の車社会の実情を説明したとおり、地方では日常生活の足として車が利用されています。1世帯に1台しか車がない場合、旦那さんが車で出勤してしまうと、奥さんはどこにも出かけられません。そのため、マイカーを2台所有したいというニーズがあるのです。
だからといって、駐車場の数が足りない物件だった場合はすぐさま投資を見送るのが正解かというと、そうではありません。詳しくは後述しますが、駐車場が足りないなら、投資家の創意工夫で必要台数分の駐車場が確保できないかを検討すべきです。
ここで、勘違いしないでほしいのですが、この章で取り上げた条件に当てはまらなかった物件は「買ってはいけない」ということではありません。
結局のところ、何が良い、悪いと杓子定規で決められないのが投資物件最大の特徴ともいえます。物件周辺にどんな施設があるのか、ライバル物件の間取りがどうなっているかなど、個別性の強い問題なので、一般論を語るのは難しい部分です。
そもそも、完璧な物件というのはこの世に存在しません。利便性の高い好立地にあり、かつ築浅で建物の状態の良い、満室で高利回りの物件であれば誰も売りには出しません。
良い条件を求めれば求めるほど、投資の対象物件が減ります。ごくまれに良い情報が出たとしても、すでに物件を数百室所有しているような、大規模な大家やプロにすぐ買われてしまうことでしょう。
ある程度の購入実績があったり、投資規模になっていたりすれば、それは可能かもしれませんが、「これから買っていこう!」というタイミングで、あまりにも厳しいジャッジをすれば、物件を購入することはできません。
これはマイホームであっても同じことですが、「完璧を求めるのではなく、どこまで妥協できるかを考える」のが得策です。妥協という表現がよくなければ、その物件の欠点も含めた状態をよく把握して購入するかどうかの決断をしましょう。
駐車場が足りない場合、「増設」も一つの手
例えば、購入条件には当てはまるものの「駐車場がない」という物件があったとします。
確かに地方物件で駐車場がないのはマイナスです。しかし、そこでセオリーどおり「買ってはいけない」と判断するのではなく、例えば敷地に余裕があれば、新しく駐車場を増設する、隣地の空き地を借り上げるといった対策を打つことができます。
あるいは、車を持たないライフスタイルの人たちの需要がそのエリアにないかを考えるべきなのです。
駐車場の必要がない一例として、生活保護者を対象とした賃貸物件の場合は車ではなくてバス便が重視されることもあります。
このように、他の人からすると難あり物件でも、自分にとってはそれほど難ではない、解決方法を知っている―つまり「勝ちパターン」を身につければ、何らかの理由で購入を見送った他の投資家たちを出し抜いて高利回り物件を手に入れることができます。
成功している投資家は自分のなかで、妥協できる部分とそうでない部分の線引きを明確に持っています。例えば雨漏りしていてもその分安く買えればよい。ただし、道路付けは譲らないといった具合です。
そもそも本当に経営が成り立たないような危ない物件であれば、銀行がお金を貸してくれません。そういった意味では信頼できる業者から紹介された物件は、すでにある程度精査された物件ばかりだといえます。
そのなかで、自分のなかで譲れる部分と譲れない部分を持つことが、物件を買える投資家と買えない投資家を分ける点だと思います。
すべての条件を兼ね備えた夢のような物件は絶対に出てきません。不動産投資の世界で青い鳥を求めてしまうと、たちまち迷子となってしまい、ゴールから遠ざかるのです。