市場の物件を自分一人で精査するのは非常に大変
一棟マンション投資に踏み出すには決断を伴うので、どうしても「誰かに相談したい」と考える人もいます。それ自体は問題ないのですが、「誰に相談するか」というのはとても重要です。
良くないのは、職場の同僚に相談してしまうケースです。相手が経験豊富な投資家であればよいのですが、たいていの場合、ただのサラリーマンでしかないからです。
そんなサラリーマンに投資の助言を求めても、調べもしないで「危なそうだから」とか「借金の額が大きいから」といった直感的な「感想」を述べられるだけです。
同僚としては素晴らしい存在であっても、投資家にとっては害悪となってしまう人もいるのです。会社からもらうサラリーのみで生計を立てる人生設計しか持たない人が、あなたの投資のメンターにはなり得ません。
あなたのためを思っているようでありながら、実は何の役にも立たないアドバイスをする人というのは世の中に多いものです。
そういったノイズの影響を受けてしまえば、結局、毎朝満員電車で通勤して、毎月3万円のお小遣いでやりくりして、たまに居酒屋で会社や仕事の不満を言う人生から抜け出すことは不可能です。しかもそこに毎月の収支が赤字のお荷物マンションまであったら目も当てられない状況です。
何も行動を起こさなかったら、よくて不満だらけの現状を維持するだけです。むしろ赤字のマンションがある分マイナスの状況です。
あなたが本当にアドバイスをもらうべきは、すでに経験がある人や情報が集まる立場にある人です。先輩大家さんや信頼できる不動産業者に相談すべきでしょう。
また、本連載では物件の良し悪しについて解説していますが、市場に出てくるすべての物件をあなた一人で黙々と精査し続けるのは、とてつもなく大変なことです。まともに取り組もうと思ったら、それこそ本業に支障が出ますし、何より途中で心が折れるでしょう。
プロが精査している物件か? 融資がつく物件か?
では、多忙なサラリーマン大家がどうやって物件探しをしているかというと、収益物件を専門とする不動産業者から送られてくる物件情報を活用しているのです。
情報が送られてくる経路はさまざまで、電話を直接かけてくる業者もいれば、メールマガジンで物件情報を送ってくる業者、なかにはLINEなどのSNSで情報を送ってくる業者もいます。
送られてくる経路は重要ではありません。重要なのは、業者を通じて紹介されている時点で、プロによる精査がある程度されている物件であるということです。
価格の安い新築区分マンションとは異なり、地方の一棟マンションともなれば価格も高額です。それだけにしっかりとどんな物件であるのか調査されていなければいけません。その意味でも、やはり収益物件の専門業者が取り扱っている物件というのは物件選びの基本条件といえます。
加えて、融資のつく物件でなくてはいけません。
収益専門の業者であれば、融資を利用する金融機関とセットで提案してくれる場合も多くあります。個人が何のゆかりもない銀行に物件資料を持ち込んで、融資を受けるのは非常に難しいのですが、取引実績のある業者が買主と銀行の間を取り持ってくれると、格段に融資が出やすくなるうえ、何より決済までのスピードが違います。